功利主義は生き残るか―経済倫理学の構築に向けて

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功利主義は生き残るか―経済倫理学の構築に向けて

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  • サイズ B6判/ページ数 273,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784326153824
  • NDC分類 331.15
  • Cコード C3010

出版社内容情報

功利主義は人格の別個性を考慮していない、というロールズの批判は妥当か。「モラルサイエンス/公共哲学」としての経済学を探求する。

経済と倫理の円滑なフィードバック関係までを考慮に入れうる「公共哲学としての社会科学」はありうるか。ミル、エッジワース、ヴィクセルらの諸説を再検討し、自由至上主義や契約主義と功利主義との現代の論争を、ハイエク、ゴティエ、スキャンロンらを軸に経済思想史的に分析する。

関連書:同著者 『現代経済学史1870-1970』(名古屋大学出版会)


序章 功利主義は経済倫理学の原理となりうるか?
1 経済学と倫理学の間
2 功利主義とは何か
3 ロールズの批判は乗り越えられるか?
4 本書の目指すもの

第Ⅰ部 経済思想の中の功利主義──ミル、エッジワース、ヴィクセル

第1章 「極大満足説」と功利主義の間
1 自由至上主義としての「極大満足説」
2 二種の極大満足説
3 エッジワースによる極大満足説の批判
4 功利主義と自利の追求

第2章 ベンサム主義的功利主義と自由主義的功利主義
1 二種の課税原則論とその根底にあるもの
2 ミルにおける市場と国家
3 課税論のパラダイム的転換
4 国家のリヴァイアサン化に抗して
5 功利主義と現代福祉国家

第3章 効用の個人間比較の可能性
1 三つの類型
2 対立の基本的構図
3 複眼的思考
4 経済学と社会学
5 経済学と価値判断
6 独我論と没個体化を超えて

第Ⅱ部 競合的パラダイムの構図

第4章 自由主義はどのように基礎づけられるか?
1 「科学的決定論」としてのワルラス理論
2 無知の自覚と自由の擁護
3 文化的進化と自生的秩序
4 「一般的ルール」の改良と進化
5 ハイエク自由論の射程

第5章 合理性は道徳性をもたらすか?
1 ホッブズ的方法は継承しうるか
2 「合意による道徳」の論理構造
3 市場と道徳性──ルールの遵守を保障するものは何か
4 アルキメデスの点──ロールズとゴティエ
5 社会的契約論の意義と限界

第6章 人間中心主義は乗り越えられるか
1 種差別主義を超えて──P・シンガーの倫理思想
2 シンガーに残された問題
3 競合的パラダイム──T・M・スキャンロンの社会契約理論
4 公共的意思決定の競合的原理──功利主義と社会契約論

終章 一般的ルール論の展開
1 経済・倫理・一般的ルールの相互関係
2 一般的ルールの性質と起源
3 ルール改良の原理
4 ルール論から体制論へ

あとがき
参考文献
人名索引

内容説明

功利主義は、わたしとあなたのあいだにある違いを真剣に受け止めていない、というロールズの批判はあたっているのだろうか。経済と倫理の円滑なフィードバック関係までを考慮に入れうる「公共哲学としての社会科学」の再建にむけて、ミル、エッジワーズ、ヴィクセルらの諸説から、シンガー、スキャンロン、ロールズ、ゴティエ、ハイエクらのあいだの現代の論争までを、経済思想史的に分析する。

目次

功利主義は経済倫理学の原理となりうるか?
第1部 経済思想の中の功利主義―ミル、エッジワース、ヴィクセル(「極大満足説」と功利主義の間―ゴッセン、ワルラス、エッジワース;ベンサム主義的功利主義と自由主義的功利主義―功利主義と課税原則の結合関係;効用の個人間比較の可能性―肯定論と否定論を分つもの)
第2部 競合的パラダイムの構図―自由至上主義、功利主義、社会契約主義(自由主義はどのように基礎づけられるか?―ワルラスの夢想とハイエクのディレンマ;合理性は道徳性をもたらすか?―『合意による道徳』の批判的検討;人間中心主義は乗り越えられるか―シンガーとスキャンロン)
一般的ルール論の展開―経済倫理学の構築に向けて

著者等紹介

松嶋敦茂[マツシマアツシゲ]
1940年東京都に生まれる。1967年京都大学大学院経済学研究科博士課程中退。滋賀大学経済学部教授、経済学博士。著書に『経済から社会へ パレートの生涯と思想』(みすず書房、1985年、第9回マルコポーロ賞受賞)ほか
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感想・レビュー

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うえ

7
「ハイエクは「一般的なルール」が①抽象的、②一般的、③すべての人に均しく適用される(普遍的)性質をもつべきことを再三主張している。そのために人々は、実際には知っている事柄についても、それが正義に関する一般的ルールの内容と直接にかかわりがない限りは、「あたかも無知であるかのごとくに」想定されねばならない。これがルールの抽象性、一般性、普遍性を保証するからである。ロールズの「公正としての正義」に通じておられる方なら、この議論がロールズの「無知のヴェール」の議論と同工異曲のものであることに気づかれたであろう」2021/05/22

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