出版社内容情報
私たちは不思議な事態に直面した時、何だろうとか何故だろうと考える。一言でいって原因を探索する。原因が分れば私たちは一安心する。こうしたことが日常のあり方であってみれば、因果関係の問題が長い間哲学のテーマであったのは当然である。本書は、ヒュームから現代までの因果関係の哲学を考えるに当って、1.過去から未来へという「時制」を軸に据えたこと、2.因果的理解そのものを考察に加える「自己言及」を行なうことの二点を重視した。それによって未来へ向う視線のありかを確保できるというのが著者の主張である。
【目次】
序章 因果的超越の果てしなき後退
因果的決定論の生成
因果的超越という暗黒
因果概念の亀裂
人格知識との融合
制度的実在への道
第1章 ヒュームの残響
ヒューム因果論の謎
自己消去への暗転
奇蹟の証言
確立概念からの反問
確立概念の区別
法則の偶然性
奇蹟論からの陰り返し
不確実性と非決定性
第2章 因果の知覚―残響のハルモニア考
因果はどのように知覚されるか
観察の理論負荷性
因果性と理論負荷性
因果性の問いから理論への問いへ
アブダクション
データと理論
操作主義
操作主義への疑問
決定する行為
作品としての因果
第3章 逆向き因果―残響のメロディ分析
因果の時間的向き
原因が結果の後に来る
論理的に矛盾するか
踏み倒し実験
ランダム性と固定性
過剰返済実験
因果的ループ
過去は操作できないか
原因の探究
過去を変える
探究の行為
過去の連続性
第4章 確率的因果―残響のリズム論究
必然性の偽装
規則性のパラドックス
結果の確立を高める
何が本当の課題なのか
確立概念の解釈
タイプかトークンか
ローゼンのパズル
カートライトの事例
負連関と負原因
因果の偶然的本性
確率論的因果の含意
プロバブルな瞬間
註
あとがき
文献表
人名/事項索引
内容説明
一切の縛りが不在の状態、希望の未来を切り出す周到な試み。因果関係をめぐる錯綜を一歩一歩解きほぐす。
目次
序章 因果的超越の果てしなき後退(因果的決定論の生成;因果的超越という暗黒 ほか)
第1章 ヒュームの残響(ヒューム因果論の謎;自己消去への暗転 ほか)
第2章 因果の知覚―残響のハルモニア考(因果はどのように知覚されるか;観察の理論負荷性 ほか)
第3章 逆向き因果―残響のメロディ分析(因果の時間的向き;原因が結果の後に来る ほか)
第4章 確率的因果―残響のリズム論究(必然性の偽装;規則性のパラドックス ほか)
著者等紹介
一ノ瀬正樹[イチノセマサキ]
1957年土浦市に生まれる。1988年東京大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位修得博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部助教授
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踊る猫
Akiro OUED
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