出版社内容情報
J.J.ギブソンは1904年アメリカ生まれ、1979年死去。知覚心理学者。伝統的な知覚論に異を称え、生態学的知覚論と呼ばれる理論を編み出した。奥行きの知覚、環境に溢れる光の意義などを再検討し、環境に備わる生体(動物)にとっての価値(アフォーダンス)の発見を通じて、全く新しい理論に到達した。本書は人口に膾炙した割には必ずしも易しくないギブソン理論に側面から光を当てるものである。副題にあるように、ギリシャ哲学から中世・近世・現代までの科学史の中に位置づけ、哲学的に考察している。西欧的知性のパノラマのような広が
目次
序 ギブソンと科学史
Ⅰ 認識の哲学と知覚の科学
1 生態学的心理学と心物二元論
2 ソクラテス以前の哲学と科学
3 プラトンとアリストテレスの哲学
4 中世の心理学・光学・哲学
Ⅱ 認識の心理学・生物学
5 科学革命
6 バークリと経験主義心理学
7 19世紀の構成主義心理学
8 進化論と機能主義的心理学
9 ゲシュタルト心理学
10 ギブソンの精神物理学の先駆者たち
Ⅲ 知覚の精神物理学
11 ギブソンの精神物理学の起源
12 ギブソンの『視覚世界の知覚』
13 ギブソンの精神物理学
14 生態学的心理学の起源
Ⅳ 生態学的心理学と知覚の認識論
15 ギブソンの『知覚系として捉えられる諸感覚』について
16 ギブソンの生態学的心理学の発展
17 ギブソンの存在論と認識論
18 ギブソンの『生態学的視覚論』
エピローグ
訳者あとがき
参考文献
用語解説
人名索引
事項索引
BK1の書評に取り上げられました
内容説明
ギブソンとは何者か。壮大な“知”のパノラマに位置づける。古代ギリシャから順に、基本的な問題に関する思考の変遷を辿り、ギブソン理論を内側から理解する。
目次
1 認識の哲学と知覚の科学(生態学的心理学と心物二元論;ソクラテス以前の哲学と科学;プラトンとアリストテレスの哲学 ほか)
2 認識の心理学・生物学(科学革命;バークリと経験主義心理学;19世紀の構成主義心理学 ほか)
3 知覚の精神物理学(ギブソンの精神物理学の起源;ギブソンの『視覚世界の知覚』;ギブソンの精神物理学 ほか)
4 生態学的心理学と知覚の認識論(ギブソンの『知覚系として捉えられる諸感覚』について;ギブソンの生態学的心理学の発展;ギブソンの存在論と認識論 ほか)
著者等紹介
ロンバード,トマス J.[Lombardo,Thomas Joseph]
アメリカ、ニューイングランドのコネティカット州に生まれる。1969年、心理学および哲学を専攻してコネティカット大学を卒業。1970年、ミネソタ大学大学院に進み、心理学を主専攻としてロバート・ショウの指導を、さらに科学哲学を副専攻としてハーバート・ファイグルの指導を受けた。1972年には、給費研究生としてコーネル大学に赴き、ギブソンから直接薫陶を受けている。1973年、ミネソタ大学より心理学の博士号を取得。1973年から1978年まで、インディアナ大学ノースウェスト校に在職、その間1976年には、ギブソンの理論の発展に取り組んできたマイケル・ターヴィーの招きによりコネティカット大学招聘講師となり、教鞭を執る傍ら研究に従事した。現在は、アリゾナ州テンピのリオ・サラド大学で心理学・哲学を講ずるとともに、自ら創設に関わった未来学研究所の長を務めている。彼は、ギブソンの思想の変遷を「相互依存性《reciprocity》」をキーワードとして科学史・哲学史との関係で捉えようと試みてきた。最近は、未来学の立場から教育や心理学の将来について研究しているが、「相互依存性」の概念は、依然として彼の思索の中心を占めている
境敦史[サカイアツシ]
1961年生。博士(心理学)。名古屋造形芸術大学造形芸術学部助教授
古崎敬[コザキタカシ]
1932年東京生まれ。’55年千葉大学文理学部心理学科卒業。’60年慶応義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻博士課程修了。現在、慶応義塾大学名誉教授、文学博士。著訳書に「心理学アトラス」(共著)「現代心理学要説」(共著)「知覚判断」(分担執筆)「認知の構図」(共訳)ほかがある
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