出版社内容情報
社会的な規範は人間の振舞を規制するものとして現象するが,その規範を人間の側から,特に身体の経験として考察する。(1)巻では原理的に,(2)巻では歴史的に記述される。
内容説明
身体はなぜ、どのように規範を仮構してしまうのか。内在と超越の反転のなかで、我々の経験の全位相を歩み抜く、社会現象学原理篇。
目次
第1部 内在と超越―物質と形式の交わるところ(原身体性;過程身体と抑圧身体;集権身体;抽象身体と主観性)
中間小括―比較社会学のために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
12
真木悠介以降の、思想に傾斜した理論社会学の流れの中でも最高の成果の一つ。いかにして、「存在者のこの身体」という具体的で内在的なものから超越的な領域が生まれ、またそれにこの身体がどう規定されるのかを追及している。自他の区別がどう生まれ、社会と呼べる秩序や神のような絶対的な領域がどう導かれるか、という主体の原理論を構築していて、抽象的だがかなりの説明力と完成度がある。「行為の代数学」で根本的な理論の論理を作り出した後、、いよいよ具体的な人間と社会に適用しようとしたのが本書と言えるだろう2013/07/27
oz
9
初読。大澤真幸さんの博士論文。世界と自己を分ける抽象的かつ超越的な「第三者の審級」と呼ぶ「他者」がいかにして身体というこれ以上なく内在的な領域から現出するか、という過程をラカン(と、メルロ=ポンティ?)に多く寄りつつ詳述する試み。後半が図書館に無いのでどうポストモダン政治学に落とし込んでゆくのか分からないが、哲学・精神分析・発達心理学など広範囲な内容を扱っているのに、読み物として面白く感じられるあたり流石。2010/03/17
じょに
0
だいぶ前にいちおう読了。橋爪大三郎の身体を基底においた権力論を、さらに進めた形。発達心理学の仮説や、精神分析の症例などの見解を元に、規範が生成されるメカニズムを解明しようというのが前半。規範が、より抽象的な一般性を仮構してゆくメカニズムを記述しようとするのが後半。だった気が。大澤センセの巧みな所は、難しい内容でもスラスラ読ませてしまう文章にある気がしませんか?2009/01/30
ありさと
0
Iは「身体」まで。「比較社会学」はIIで扱う。2018/01/28