内容説明
両人はかれこれというゆえに、その時おれが出て、「その書き付けを見せろ。」と取り上げて見て、燭台の火へかざし、見るふりして焼いてしまったら、両人が色をかえてぐずぐずいうから、「おれがしたがかれこれいうはいかがの心得だ。そのほう両人はわけておれにこれまで刃向こうたが、格別の勘弁をしておくに不届きのやつだ。」とおどかしてやったらば大いにこわがったゆえ、「この証文は夢酔がもらっておく。」とて立って座敷へはいったら、両人は「恐れ入りました。」とて早々帰ったゆえ、百五十両は一言にてふんでしまった。なんでも人はいきおいがかんじだとおもった。―『おれほどの馬鹿な者は世の中にあんまり有るまいとおもふ。故に孫やひこのために、はなしてきかせるが、能能不法もの、馬鹿者のいましめにするがいゝぜ』幕末を生きた勝海舟の父・勝小吉が語る破天荒な自伝。大きな文字、やさしい表記、親切な脚注付き。
目次
気心は勤身
出生
五歳のとき
七歳・養子・凧喧嘩
八歳のとき
九歳のとき
十歳のころ・馬の稽古
十一歳のころ
十二歳のころ
十三歳のころ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はま
16
噂の勝海舟のお父さん、勝小吉が書いた自伝。まさに不良少年で不良青年で不良老年。口語っぽくて読みやすそうと見せて、実は文章がとっちらかってるからやや読みにくい。でも魅力的な不良です。勝海舟の親父って感じっすなー。2018/06/16
まりこ
3
勝小吉の自伝。文章は下手だと思うが、話ぶりが良い。面白く、人間が大きく、気概のある江戸っ子という感じ。ハチャメチャだけど親分肌で慕われる人柄がよくわかり、面白かった。能吏ではない賢さでいきた人だと思う。2017/08/26
くすりん
1
小吉の女房なるテレビ番組を見て、勝海舟の父親が書いた本が気になり手に取った次第。江戸時代当時の生活、文化・風俗などがこの本からも見てとれ、面白かった。このオジ様は、8才くらいから家出して、乞食同然の暮らしをしながら伊勢を目指したり、かなりのヤンチャ者で喧嘩の話が多く、喧嘩大好きな放蕩者、数々の悪事を働き、若くして隠居させられるヤバめの人。ただ、なんでもやってみて出来ないことはないと言う精神には恐れ入る。さすが、海舟さんの父。2022/06/20
クイークェグ
0
男は、若い時にこのくらい事はやりたいもんだよ。だが、ここまでやる奴はヤッパリ江戸っ子だね。頼まれごとはトコトンやり通す心意気。おいらも、こんな不良老年になりたいな〜2015/03/09
kei
0
勝海舟の父の自伝。痛快不良旗本一代記。2008/05/21