内容説明
「中世江戸=寒漁村」説を打ち破る!「江戸」の由来、「徳川氏」改姓、水のネットワーク…。ひとつ、またひとつ、糸がほぐれていく。中世東国水運からの謎解き。
目次
第1章 秀吉・家康の江戸選定
第2章 家康は新田義貞の子孫?
第3章 武蔵府中と上州群馬
第4章 府中大国魂神社と品川荏原神社
第5章 品川と熊野をつなぐ「鈴木」姓
第6章 北畠親房はなぜ伊勢を選んだか
第7章 古利根川・元荒川・古隅田川
第8章 江の湊―江戸地名の由来
第9章 中世江戸の位置づけと品川・浅草
第10章 江戸重長・太田道灌・北条氏政
第11章 「葦原」伝説の幻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chang_ume
13
伊勢・品川間の太平洋海運と利根川・常陸川水系の内陸水運、これら東国水運の結節点として中世江戸を理解。また中世江戸の政治拠点としての弱さについては、北関東と南関東の地域対立を前提に、両地域の境界地域として最前線の役割を担った江戸の地理的特徴に理由を見る。それが後北条氏段階(氏政・氏直期)に南北関東の統合が進んだことで、後の家康による江戸拠点化の条件が整ったとする。肝心の中世江戸の実態について検討が乏しく、全体的に状況証拠の提示に留まるものの、中世江戸の再評価は現行研究の先駆けとなるものでしょう。99年刊。2023/01/08
珈琲好き
8
鎌倉幕府から後北条氏まで関東は利根川を挟んで西側は中小勢力+幕府等、東はいくつかの大勢力と、大きく二つに区分けされていたというのは、鎌倉が鎌倉幕府の中心となった立地や、享徳の乱、後北条氏vs上杉氏などを考えるとすっきり理解できる視点なので、他の本で裏を取りたい。2018/05/18
takeapple
6
秀吉に言われたからではないってことね。2011/12/18
黒蜜
5
興味深い。著者の専門は中世荘園なんだろうが、既存の研究への関心の広さとまとめ方や史料の読み下し方が上手いんだと思う。タイトルの疑問に対して非常に明確に推理を勧めていく。水上交通、水運やお金の流れみたいなこれまでに注目されてなかった分野からの研究を取り入れて非常に好奇心に駆られる内容ですね。江戸東京博物館にいってみたい。2018/07/21
みやちゅー
5
伊勢、熊野からの太平洋海運と、利根川水系の結節点であり、 この平安から中世を通じた重要2015/07/24