出版社内容情報
1980年代を中心に華々しく語られてきた東京。しかし、グローバル化の波にもまれ都市のあり様が急激に変化している昨今、東京論にも新たな語りのスタイルが要請されている。都心再開発、臨海副都心、郊外、ホームレス、皇居、建築、サブカルチャー、監視カメラ……気鋭の執筆陣がさまざまな角度から東京の現在を切り取る、まったく新しい形の東京ガイドブック。
2005年掲載
apple5月号、静岡新聞5/15(共同配信)、読売新聞5/11夕、MONOマガジン6-2号、STUDIO VOICE6月号、ベンチャーブレーン8月
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現代の都市や社会を、東京という具体的な都市を対象として複数の場所と視点から読み解き、
自分の足で歩き、それらをめぐる言葉と思考へと誘う”ガイドブック”であることを目指している。・・・
ここに収められた文章の書き手は都市、メディア、文化、地理、文学、建築等々の専門をもつ
研究者、元雑誌編集者、建築家、学芸員、大学院生などさまざまで、
各々よって立つ視点も異なれば、思考や分析する方法やスタイルも異なっている。
東京やその周辺に暮らして働く者もいれば、他の地域に拠点をもつ者もいる。
日本人ばかりではなくアメリカ人、台湾人、ポーランド人の論客も加わっている。・・・
東京という都市や現代の社会に対する複数の視点やアプローチから見た東京論の集まりであるというばかりでなく、
限られた数ではあるけれども、この都市を生き、通過した複数の具体的な人間の生の現場から発せられた複数の声からなる点でも、
「東京スタディーズ」という複数形のタイトルにふさわしいものになった・・・
ここには、東京という大都市の中に見だされる、現代の都市と社会について考えるための
いくつかの重要な切り口と、それらについて考え、語るための思考と言葉の補助線は示されているはずだ。・・・
ここに収められた文章は今から五年、一〇年たったとしても歴史的な記述として、
そしてまた理論的な分析として、十分意味をもつものであるはずだ。
はじめに より
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テーマから読む
臨海副都心◎余白化する都市空間 お台場、あるいは「力なさ」の勝利 <若林幹夫>
六本木◎迷路と鳥瞰 デジタルな都市の想像力 <吉見俊哉>
エスニック・スポット◎都市に埋め込まれるアジア <田嶋淳子>
新宗教建築◎隣のユートピア <五十嵐太郎>
野宿者◎ホームレスの空間 <西澤晃彦>
米軍基地◎ベースとビーチ 「湘南」の記憶 <吉見俊哉>
ストリート◎新宿ストリート・スケートボーディング 都市下位文化の日常性 <田中研之輔>
ハイキング◎変容する徒歩空間 ロマンコースの光と影 <金子淳>
郊外◎郊外を生きるということ 空虚さの中の過剰さ <若林幹夫>
文学◎郊外を切り裂く文学 <石原千秋>
映画◎映画のなかの東京 <中村秀之>
ポピュラー音楽◎脱・地名の歌詞世界の中で <山田晴通>
TVドラマ◎都会ドラマと九〇年代の心象風景 <ステファニー・デボア>
台湾◎「すっぴんの東京」に出会う 日本ブームのあとさき <鄭秀娟>
交通◎トーキョー・トレインズ あるポーランド人社会学者の見た東京 <イレーナ・リフロフスカ>
情報誌◎「シティロード」と七〇年代的なものの敗北 <若林幹夫>
八〇年代以降◎舞台としての都市/散逸するまなざし <北田暁大>
秋葉原◎「おたく」の聖地は予言する <森川嘉一郎>
セクシャアリティ◎東京の「性」はどこに消えたのか <赤川学>
皇居・丸の内◎占領地としての皇居 <吉見俊哉>
◎東京を読み、歩くためのブックガイド33 <若林幹夫>
コラム◎地べたと自転車 <鈴木隆行>
◎空白地帯 <永井良和>
◎銭湯の思想 <西澤晃彦>
◎スター建築家というブランド <南後由和>
◎不器用な極端さ <平井太郎>
◎幕張ベイタウン 未来の街へようこそ <若林幹夫>
◎着飾った少女はなぜ東京を目指すのか <中村由佳>
◎緑色の欺瞞 <石原千秋>
◎裏返される「まちづくり」 <平井太郎>
◎日本橋と首都高 <五十嵐太郎>
◎東京の系譜① 1973年以前 <若林幹夫>
◎岡崎京子 都市を生きる快楽と痛み <若林幹夫>
◎<マツキヨ>が止まらない <中村由佳>
◎駅が溶けだしている <平井太郎>
◎電車通勤する身体 <田中大介>
◎「アクロス」があった <松井和哉>
◎東京の系譜② 1973年以降 <若林幹夫>
◎四谷荒木町の奥行き <鈴木隆行>
◎お立ち台 <永井良和>
エリアから読む
新宿、渋谷、六本木、銀座、池袋、上野、浅草、お台場、汐留、・・・・立川、多摩ニュータウン、横浜/みなとみらい、多摩川、山手線、中央線、レインボーブリッジ、鎌倉、横須賀、・・・・計75地域
写真100点 ブックガイド付き
内容説明
巨大再開発、臨海副都心、皇居、エスニック・スポット、郊外、米軍基地、ホームレス、建築、文学、映画、サブカルチャー…複数のルートから都市の現在に迫る、新・東京ガイドブック。写真100点、ブックガイド付き。
目次
臨海副都心
六本木
エスニック・スポット
新宗教建築
野宿者
米軍基地
ストリート
ハイキング
郊外
文学〔ほか〕
著者等紹介
吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
東京大学大学院情報学環教授(社会学、文化研究)
若林幹夫[ワカバヤシミキオ]
早稲田大学教育学部教授(社会学、都市論、メディア論)
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