出版社内容情報
文学の面白さはストーリーや登場人物の魅力だけではない。作品に登場するモノやその描写を見ていくと、思いもかけなかった読み方ができることに気づくだろう。ファッション,風俗,ホテル,バンド,食べ物,そして「貧乏」。9つのテーマをめぐって,村上春樹から渡辺淳一まで読みくらべる,痛快無比の文芸評論。
各紙誌に書評続々! 毎日新聞3/1「小気味いい分析が並ぶ」、日経ウーマン4月号“著者インタビュー”、週刊読書人3/26、静岡新聞・福井新聞・新潟日報・熊本日日新聞・中国新聞3/7「断定を恐れない男前な文章が生む、快哉につぐ快哉」(豊崎由美氏評)、産経新聞3/7「小説家には天敵のような批評眼だ」(森雅裕氏評)、週刊新潮3/11号、週刊文春4/1号“私の読書日記-米原万里”他多数。
★米原万里さん(作家)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 渡辺淳一の『失楽園』と丸谷才一の『女ざかり』の服装描写が「もうひとつピンとこない」のはなぜかとか、山田詠美の『熱帯安楽椅子』と川端康成の『雪国』に共通するリゾートホテル小説のパターンとか、小説という「多様な情報を抱え込んだ総合芸術」の細部――衣服、食べ物、ホテル、車など、モノの描かれ方から現代日本の八二本の作品を批評しつつ文学史的位置づけまで与えているところがスゴイ。
とくに、葛西善蔵『子をつれて』と小林多喜二『蟹工船』を較べながら、日本近代文学には貧乏を崇拝する特殊なジャンルがあった――貧乏を自虐的に描く「私小説」と集団の貧乏を高みから理屈っぽく描く「プロレタリア文学」、と論じるくだりは圧巻である。林芙美子『放浪記』の方法が松井計『ホームレス作家』にまで継承されている系譜を確認し、「書くことでも読むことでも、あらゆる知的な作業には、人間の尊厳を取り戻す力がある」「感情をぶつけられるからではなく、冷静に客観的に自己と周囲を観察する機会になるから」と意外に真面目な結論に導くあたりに、チョー辛口批評家の文学に寄せる並々ならぬ愛を見た。」
2004年掲載
毎日新聞3/1、Luci5月号、CLASSY5月号、ef5月号、アサヒ芸能3/25号、ウフ4月号、safari5月号、日刊スポーツ4/25、公明新聞4/19、週刊新潮3/11号、HotDogPress4月号、ダ・ヴィンチ4月号、日経WOMAN4月号、e-non3/26~、朝日新聞4/11、すばる5月号、日経新聞4/3、週刊文春4/1号、信濃毎日新聞3/14(共同配信)、赤旗新聞3/16、ブルータス4/1号、Book asahi.com5/14、safari5月号、ダ・ヴィンチ8月号、本の雑誌8月号、ミセス10月号
内容説明
商品情報を読むように、小説を読んでみよう。庄司薫から渡辺淳一まで、のべ70人の82作品を自在に読みとく。
目次
はじめに―商品情報を読むように小説を読んでみよう
1 アパレル泣かせの青春小説
2 ファッション音痴の風俗小説
3 広告代理店式カタログ小説
4 飽食の時代のフード小説
5 ホラーの館ホテル小説
6 いかす!バンド文学
7 とばす!オートバイ文学
8 人生劇場としての野球小説
9 平成不況下の貧乏小説
著者等紹介
斎藤美奈子[サイトウミナコ]
1956年新潟県生まれ。成城大学経済学部卒業。文芸評論家。著書に『文章読本さん江』(筑摩書房、第1回小林秀雄賞受賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばりぼー
おかむら
空箱零士
へたれのけい
金平糖