人物文庫
田沼意次―主殿の税

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  • サイズ 文庫判/ページ数 336p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784313751651
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「賄賂の卸問屋」か?「経済改革者」か?田沼意次は老中として財政再建に取り組むうちに、幕府の租税制度が持っている根本的矛盾に気がついた。しかし改革に乗り出した彼の前に守旧派の厚い壁が…。緻密な考証で悪徳政治家とされた田沼の実績を見直し、その波瀾の生涯を描き出す迫真の歴史経済小説。

著者等紹介

佐藤雅美[サトウマサヨシ]
1941(昭和16)年、兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業。ジャーナリスト等を経て現在、作家。85年、『大君の通貨』で新田次郎文学賞受賞。94年、『恵比寿屋喜兵衛手控え』で直木賞受賞
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感想・レビュー

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糜竺(びじく)

37
予想以上に良かったです!作者は直木賞作家の佐藤雅美氏。17世紀後半の江戸時代が舞台で、その当時の幕府の老中(総理大臣級)の田沼意次が主人公です。彼は賄賂政治家というイメージが強かったのですが、この作品を読んでそのイメージが変わりました。幕府の財政再建の為に懸命に働き、また彼の先見性と政治力には驚かされました。彼の息子が暗殺されますが、その時の意次の心の動きを読んでいる時は、正直少しウルッときました。かなりお勧めです。作者の佐藤雅美氏は経済歴史小説がお得意のようですが、またぜひ、別の作品を読んでみたいです!2014/02/13

Mina

21
初読みの直木賞受賞作家さん。田沼意次の政策を経済的な観点から評価し、小説として描いた作品。恥ずかしながら日本史が苦手な状態で読んでいったのですが、繰り返し同じ内容の解説があったので混乱することはなかったです。田沼は税制の矛盾に気付いて改革を目指したり、蝦夷地の開拓にいち早く注目したりしたのですね。政治的な駆け引きの場面、特に終盤での畳み掛けに、政治の難しさを感じました。賄賂のイメージが強い田沼の真の姿を再発見する、とありましたが納得です。2020/05/06

スー

19
31賄賂といえば田沼、田沼といえば賄賂というぐらい悪徳政治家のイメージが強い田沼意次ですがこのイメージは田沼にとって変わった松平定信などによるものだったようです。この本によれば老中となると皆少なからず賄賂を取っていて田沼だけが悪人ではないようです。田沼は将軍・幕府の為に新しい財源の模索して試行錯誤するなど他の政治家達とは違う。色々な情報を集め調査する等老いを感じさせず行動するところには感心しました。定信の執拗に田沼を悪者にしようとした理由を知る事ができました。2022/04/17

桑畑みの吉

3
賄賂大好きな強欲政治家というイメージが強い田沼意次(1719年~1788年)。本書によると江戸時代の老中はほとんどが大小の賄賂を受け取っていたそうだ。士農工商の身分制度の中で幕府自身の商売を認めたり、租税制度の改正を思考した点を著者は「異色の政治家」としてとても評価している。田沼の改革が成功していたら江戸時代の歴史は変わっていたと思わせる内容となっている。大変読み応えのある歴史経済小説であると思うが、情報量が多くて一読しただけでは全てを把握できなかった。機会があれば再読してみたい。2020/09/18

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