内容説明
「ヨーロッパ1848年」の革命派にして19世紀後半の大芸術家ヴァーグナー、フォンターネ、ドストエフスキーは反ユダヤ主義者になった。カフカはとりわけヴァーグナーによって「ユダヤ人抹殺」を予見する。では、かの偉大なるゲーテは防波堤になってはくれないのか。カフカは「ゲーテのぞっとする本性」を知っておののく。ドストエフスキーは『分身』でゲーテに挑んでいた。カフカはゴリャートキンの身元である作家ヤーコプ・レンツを読んで分別を取り付けようとする。カフカ読解のさらなる展開。
目次
第1章 『変身』の中のフォンターネ、ドストエフスキー
第2章 『変身』の中のリヒァルト・ヴァーグナー
第3章 『変身』と『分身』―ゲーテVSレンツ、ドストエフスキー(「招かれざる客」ラスコーリニコフとゴリャートキン;ペトラシェフスキー会のドストエフスキーを予告するゴリャートキン;『分身』の中のゲーテとレンツ;夜会への闖入;グレーゴル=ラスコーリニコフ=ファウスト)
第4章 小説『変身』は作文「ゲーテのぞっとする本性」である
第5章 『変身』の中の法王グレゴリウス七世とゲーテ=ナポレオン連合
著者等紹介
樋口大介[ヒグチダイスケ]
1943年新潟県生れ。東京大学独文科修士課程修了、国学院大学教授。ドイツ近現代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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