出版社内容情報
日本人にとって土地とは?中世社会の根幹をなし、日本史の理解に欠かせない荘園制。その難解な仕組みを興味深く解説。
内容説明
神・天皇・貴族・武家…土地は誰のものか?複雑多岐な制度を一気に理解する!
目次
1 土地はそもそも「誰のもの」と考えられていたか―荘園成立の前史
2 平安期、「貴族」はなぜ荘園の利権を掌握しえたか―荘園の誕生と拡大
3 院政期、荘園の発展とともに「武士が成長」した理由とは―大規模荘園の全国化
4 多様化する荘園の「経営」は、どうおこなわれたか―最盛期の荘園
5 「武家政権」がおこなった荘園支配の新しいかたちとは―変容する荘園
6 室町以後、戦乱を経て荘園はなぜ「解体」されていったのか―荘園の終焉
著者等紹介
武光誠[タケミツマコト]
1950年、山口県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。同大学院博士課程修了。文学博士。2019年3月に明治学院大学教授を定年で退職。専攻は日本古代史、歴史哲学。比較文化的視点を用いた幅広い観点から日本の思想・文化の研究に取り組む一方、飽くなき探究心で広範な分野にわたる執筆活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nagoyan
15
優。文筆家の手による荘園の解説本。著者は、荘園が拡大した理由は、地方農民(その指導者たる豪族)が、中央の先進的文化・農業技術を受け入れようとして、中央の上級貴族、寺社と結びつきを得ようとしたからと説く。院政期に領域型荘園が拡大するのは、経済的発展著しい武士的豪族が共同体的所有から私的所有への移動を目指し、中央権門がそれを保証したからと説く。さらにその動きが幕府の地頭制に結実していく。このように発展した荘園制が、実は天皇の支配を全国化したと説く。中央と地方の関係を交易にみるなど、興味深い内容も多い。読み物。2022/07/08
翠埜もぐら
13
著者は古代史がご専門で著作も膨大な量がある方です。が、荘園制が始まった平安時代、中央と地方のつながりが「文化」であることを強調し(お金と権威では?)百姓がほぼ自給自足であったと断言し、室町期に小領主達が守護大名達の家臣になるのは没落したから、と言い切るのにはちょっと抵抗があります。「中世史の専門家は」と度々書かれていますが、専門家が誰でどの文献で言っているのか記載なし。極めつけは巻末に参考資料が全く載っていませんでした。ど素人が不遜かもしれませんが、昨今の中世史ブームに大慌てで乗ったように感じました。2022/05/01
えぬ氏もわるよのぉ
9
日本の中世史を理解するうえで枷となる複雑な荘園制度をできるだけわかりやすく解説してくれていて、大変参考になった。これまで抱いていた素朴な疑問のいくつかも解消した。2024/03/10