内容説明
日本における〈近代的自我〉の確立は不可能な試みだった…。近代以降の日本人を対人恐怖症、西欧人を対神恐怖症と比較分析。大槻憲二、森田正馬、土居健郎やフロム、ユング、ホーナイ、ライヒらの理論に潜む〈強い自己〉、〈真の自己〉という幻想を暴きつつ、自我信仰という現代最も強力な宗教(=幻想)の起源とその克服されるべき未来に思いを寄せた岸田秀の代表作。
目次
対人恐怖と対神恐怖
引き裂かれた人間
「甘え」の弁明
「卑屈さ」の研究
ふたたび自我の問題
「真の自己」
自我と欲望
自我の支えの否認