出版社内容情報
当文庫版に含まれる書き下ろし新作短篇は『You can keep it.』です。
内容説明
学校生活&受験勉強からドロップアウトすることを決めた高校生、朝子。ゴミ捨て場で出会った小学生、かずよしに誘われておんぼろコンピューターでボロもうけを企てるが!?押入れの秘密のコンピューター部屋から覗いた大人の世界を通して、二人の成長を描く第三八回文藝賞受賞作。書き下ろし短篇を併録。
著者等紹介
綿矢りさ[ワタヤリサ]
1984年、京都府生まれ。2001年「インストール」で第38回文藝賞を受賞し、17歳でデビュー。04年『蹴りたい背中』で芥川賞を史上最年少で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
406
今さらながら、2001年文藝賞受賞のこの作品を読んでみた。当時、彼女は17歳。日本語力や、着想力の斬新さが高く評価されているが、私が一番驚くのは、その緻密な構成力だ。「かずよし」との出会いからエンディングまで、実に”しゃらくせぇ”「いき」な作りに仕上がっている。電脳世界の仮想空間というだけなら、これほどに新鮮な息吹を伝えられなかっただろう。すなわち、「かずよし」を設定したことこそが、この小説世界を立体化させたのだ。あくまでも真剣な(つまり滑稽でもある)聖璽と、浮かれたキャラクターのリアルな雅さんも秀逸。2012/08/15
HIRO1970
312
⭐️⭐️⭐️⭐️綿矢さんはまだ2冊目。何となく手に取りたくなる作家さんです。巻末の高橋源一郎さんのお話で何でスラスラと読めてしまうのか解ったような気がしました。文章の良さが決め手のようです。インターネット黎明期の話ではありますが、今読んでも十分楽しめる良作でした。次回も手に取ってみます。2016/10/01
さてさて
300
自分が何者であり、どこから来てどこへ行くのか、どこまで行けるのか、いろんなことに悩み、苦しみ、迷う時代。何かに気づき、何かを感じ、そして何かを納得して、また階段を一段一段と上がりはじめる十代が後半に変わったその時代。17歳が現在進行形だった綿矢さんだからこそ書けたリアルな物語。一見、あっけなく幕切れるその結末だからこそ、未来がそこに見え、朝子の未来が確かに続いていくんだということを感じさせてくれました。強い個性を感じる表現の数々含め、その世界観にすっかり魅了された、瑞々しさに溢れる作品でした。 2021/01/29
青葉麒麟
223
文体が若い。一文が長いので読むのに何故か疲れた(>_<)2012/05/02
❁かな❁
222
お気に入りの綿矢りささんのデビュー作!綿矢さんの作品を読むのは9作目。新刊は未読ですがそれ以外は全て読みました!やっぱりスゴイ★17歳の時に今作でデビューされたとのことですが綿矢さんの研ぎ澄まされたような無駄の無い文章、リズム感などデビュー作からもう完璧だったんですね♪素晴らしいです(´▽`*)主人公の朝子の思春期の虚無感、将来への不安、葛藤等リアルに描かれています。綿矢さんの文章は本当に心地よくて一気に読んでしまいます!とても楽しく読むことができました!綿矢さん本当に天才★面白かったです!お気に入り♡2015/11/21