河出文庫
肌ざわり

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  • サイズ 文庫判/ページ数 328p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784309407449
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

これは私小説?それともエッセイ?それとも哲学?娘の胡桃子と私が営む父子家庭の日常を軽やかに描きながら、その視線はいつしか現実と妄想の間を縫って、世界の裏側へ回りこむ…。赤瀬川原平が1979年に尾辻克彦の名で初めて執筆し、中央公論新人賞を受賞した「肌ざわり」を含む、小説家としての処女短篇集、ついに復活。

著者等紹介

尾辻克彦[オツジカツヒコ]
1937年、横浜市生まれ。武蔵野美術学校中退後、赤瀬川原平の名で、先鋭的な美術活動を行う。79年、尾辻克彦の名で書いた「肌ざわり」で中央公論新人賞、81年、「父が消えた」で芥川賞、83年、「雪野」で野間文芸新人賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

michel

20
★4.9。心地良い作品。イラストレーター赤瀬川原平が”尾辻克彦”というペンネームで書かれた短編小説。中学の娘とトマトシチューを作り、床屋へ行く、だけの話。美術家らしい文章。対象をとぼけたようでズバリと捉える比喩表現が、実に心地良い。短文、短文で紡ぐリズムも心地良い。まさに、主人公がこの床屋で感じた”肌ざわり”を体感する。「お父さん、わだかまっているのね」と娘に言われるこの男、かわいいわ。2018/11/01

xtc1961ymo

7
尾辻克彦名義の処女作。どれも純文学の定型とは意図的にずらしている。床屋選びで来ましたか。そこそこ高い金を取るが最後にその高い金額にほっとする、微妙な着地が赤瀬川式の骨頂である。所々に比喩による実験的試みがあり、絵を描く人の文章だなと遠回りに納得させられる。まだ普通の文章にはなれずにどこかぎこちなく硬い文体もアバンギャルドな味であります。着眼点ひとつをそのまま展開して、小説をひとつ、拵えましたとゆう風情。この時ならではの時代の感触がぎゅっと詰まっている。この人にしか書けない文章だとつくづく思った。2014/12/05

こまいぬ

5
読み進むにつれ、既読だったことに気づく。胡桃子は、我輩は猫の友達であるにも出てきたけど、あちらのほうがより明るい感じ。肌ざわりのほうが、より私小説っぽい。エッセイの時と同じように面白い文章だし、日常の話なのに、時々ほの暗いものが表れて、印象に残る。2014/12/05

ゆき子

4
尾辻克彦=赤瀬川原平の短編小説集。 一冊の中で、同じ名前のたぶん同じ人物が何人も出て来るのだが、時間軸だったり設定が少しずつ違っているようで、気がつけば読むにつれて自分も時間軸をまたいでいるような感覚になっていた。 特に記憶の曖昧な森さんと牡蠣の話は一気に読んで自分の記憶も何度も上書きされた感じで、とても自分好みの読後感だった。2021/09/12

Mark.jr

3
かつて川端康成や横山利一が「新感覚派」と呼ばれていましたが、その呼称は本書にも当てはまるのではないでしょうか。まさに、普通とは違った"肌ざわり"の作品です。2022/05/07

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