内容説明
小学校時代の友人が、突如オレの六畳にころがりこんできた。断りきれずに始まった男二人の生活。そのうちなぜか居候に親切な彼女のチカも加わり、奇妙な一週間が始まって…胸をしめつけるあの文芸賞受賞作がついに文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
88
☆5.0 小学校時代大嫌いだった友人が、突然オレの六畳に転がり込んできた。断りきれず男二人の生活が始まった。 どうってことない青春の日常が胸キュンを惹き起こす。 第三十四回文藝賞受賞作。2021/01/26
なる
30
流れるように過ぎて行く文章、特に大きな盛り上がりの無い平坦な日々、エキセントリック、というほどでもない少しだけ羽目を外しているありふれた感覚の恋人、そして居候として住み着いてきたかつての友達。そこにゆるやかに漂っているラジオ。20歳前後の頃の感覚を思い出す。泊まりに行った悪友の家。押し掛けてきた悪友たち。尺にしても作中の時の経過にしてもちょうどいい長さで、それこそラジオ番組を聴くように読み終えることができる。勢いに任せた若さの祝祭。けれどこれでいいんだ。物語の途切れ方も、結末も。これ以上は蛇足なんだ。2020/10/06
巨峰
21
初清剛。河出だし、難しい内容かと思ったら全然そんなことなかった。若い男の子の一人暮らしのところにやってきた元いじめっ子の幼なじみ。二人の短い同居生活をみずみずしく描く。もっと読まれてもいいのにな2011/08/15
パラ野
17
帯に「渋谷発」と書いてあるのが、当時の空気を感じる。幼馴染みが再会して始まる同居生活。サキヤは金持ちで鼻持ちならない性格だった。母親が蒸発して離れるのか。カズキは親や先生を振り切って、大学にも専門学校にも行かず、やりたいことが見つかるまでカセットテープの工場で働き始めてから三年。彼女のチカはファッション関係の専門学校生。もう、この状況で今とずいぶん労働や夢に関する考え方が変わったなと驚く。エゴを連発したらあかんよ、現代語はヴィタだよ、と思ったのまで思い出したw2014/08/18
どらがあんこ
12
地の文から会話文への転調が時々あってそういったリズムを楽しみながら読んだ。夢うつつに見たあのシーンから三人の関係がきちんと三角形になり、同時に主人公目線ではそれが破綻しかける。しかしそれでもってさっぱりしているから面白い。空白による厚みをひしひしと感じる。2018/12/14