河出文庫
神聖受胎

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  • サイズ 文庫判/ページ数 267p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784309402055
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

サド裁判の渦中にあった弱冠33歳の著者によるラジカルなエッセイ集。著書としては3作目にあたるこの書物が発表されたのは、安保闘争直後の騒然たる時期であった。往年の簡潔、明晰な軽みさえたたえた文体とは異なり、硬質でやや晦渋なスタイルで書かれた本書は、時代と対峙する精神の緊張感をはらみつつ、後半深まりをみせる数々の関心を論理的に展開し、強烈な衝激力にみちている。

目次

ユートピアの恐怖と魅惑
狂帝ヘリオガパルスあるいはデカダンスの一考察
反社会性とは何か
ワイセツ妄想について
神聖受胎あるいはペシミストの精神
スリルの社会的効用についてあるいは偽強姦論
国語改革はエセ進歩主義である
前衛とスキャンダル
仮面について―現代ミステリー映画論
「好色」と「エロティシズム」―西鶴と西欧文学
知性の血痕―ブルトンとトロツキー
銅版画の天使・加納光於
燔祭の舞踊家・土方巽
「鉄の処女」―春日井建の歌
発禁よ、こんにちは―サドと私
第1回公判における意見陳述〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

双海(ふたみ)

18
澁澤一流の言い回しはここにもあったのか。サド裁判の渦中にあった著者33歳のラジカルなエッセイ!2014/10/11

Masashi Onishi

2
何年かぶりに手を取る。所々に付箋が貼られているのを見ると往時の関心事に恥ずかしさを隠せない。 作者にとって初期の評論集。 生産の哲学を否認し消費の哲学を称揚するたあたりは、今読んでも面白い。 文体としては、行ったり来たりの論理構成で併走することが極めて困難であると同時に詰屈としているので晦渋ではあるが、著者の文章に対する思い入れを知る上での好著。2020/11/23

日野和南

2
澁澤龍彦の閉鎖性。三島由紀夫をドリフばりにズッコケさせ、澁澤龍彦のパイプを落とした土方巽。澁澤龍彦、サド裁判に対し大胆不敵でよかった2017/02/01

Masashi Onishi

2
ユートピアの恐怖と魅惑 より ペダンティックとは、 知識の無力を知りつつその潜在的可能性に賭け過剰なまでのポーズをとるが、知識の誇示は自らの劣等感を高めるだけである。 この態度をとる者は現実に対して抗議する社会的弱者。また、個人の自我表現が同時に世界実現となるような恐怖と魅惑、ユートピアの価値はニーチェの説く遠人愛による遠く離れた人類愛を希求する恐怖と魅惑の風土からしか生まれない。 狂帝ヘリオガバルス或いはデカダンスの一考察 偉大なるデカダンスにとって消費2014/12/16

風呂の手

1
初期澁澤らしく「革命」志向なのは御愛嬌。マルクスやトロツキーについても大幅に紙面を割いて論じているのが驚き。「現実原則と快感原則」(フロイト)という彼お馴染みのテーマが、政治と芸術という観点から60年代当時のアクチュアリティをもって語られる。 トロツキーに関しては、読了したばかりの山口昌男『歴史・祝祭・神話』と共通するところもあり楽しく読めたものの、山口の論が質量ともに非常に充実していたためか、澁澤が少々霞んでみえた。 ※『澁澤龍彦集成 Ⅶ』(桃源社)版で読了。2023/12/28

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