内容説明
同時代の思想家たちを横断しながら、多様な方法によって切り開く身体論の異邦な展望。
目次
第1部 身体の力(能力をもつ身体;蘭と筋肉 ほか)
第2部 快感と苦痛(身体の隷属化;照応への強要 ほか)
第3部 リビドー経済(厄介な貨幣;流動体経済 ほか)
第4部 命法的身体(命法的諸表面;エレメンタルな身体 ほか)
著者等紹介
松本潤一郎[マツモトジュンイチロウ]
1974年生まれ
笹田恭史[ササダヤスフミ]
1969年生まれ
杉本隆久[スギモトタカヒサ]
1975年生まれ
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感想・レビュー
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らんぼ
1
世界の存在と自らを身体図式によって"合わせる"ようにして捉えるメルロ=ポンティらの現象論を敷衍して、他者の存在が自らの身体(図式)にどのような影響を与える=命じるかを論じている。特に、顔、死せるものたち、自然といった対象物については自身の放浪の旅を通じた実感を伴う思索が行われており非常に面白い。これらのテーマは彼の著作で一貫している。一方、翻訳が冗長に感じたり、後半部でフロイトの精神分析に言及した章(結構長い)は説得力に欠ける部分もある。初めてリンギスを読む場合はエッセイ形式の他の著作がおすすめ。2021/02/14
原玉幸子
1
三島由紀夫はまぁ許せても、今や完全に風化されたフロイトや幼児の自我を通じての言説は、実存主義を難しく言い換えただけの古い哲学講義の気がします。リビドーやファルス等の概念を知ることにそれ程有難味を感じず、寧ろ感覚的には、宗教における聖典が編者による壮大な語りであるのと同義で、「哲学書は哲学者が創る小説だ」と思うものでした。(社会)生物学、文学、著者専門の哲学他での、広く多義多様な考察は、難解というより著者が何を語りたいか判読出来ず、「だから実存主義は今や流行らない?」との気になります。(●2019年・春)2020/04/03