わたしの取材余話

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  • サイズ B6判/ページ数 233p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309019765
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

記録作家・戦史作家・歴史作家であった著者が、自らの作品執筆のために行ったていねいな取材のこぼれ話の集大成。全編単行本未収録。日本で最初の心臓移植手術に際しあらゆる関係者に取材した記録も圧巻。

内容説明

単行本未収録エッセイ集、樺戸集治監、丹那トンネル、心臓移植、…。記録の人・吉村昭が、執筆のために全国各地を訪れ、関係者に徹底的に取材した爪痕。吉村文学を愛する読者に送る、感動の追体験。

目次

舞台再訪戦艦武蔵
戦艦・陸奥とQ二等兵曹
高熱隧道をゆく
心臓移植と狂気
「心臓移植」取材ノートから
「事実」と「虚構」の視座―戦争や心臓移植を書いたことの意味
プロボクサーの心理と生活
ふた昔前の短篇
八百屋の店主
「赤い人」について〔ほか〕

著者等紹介

吉村昭[ヨシムラアキラ]
1927年、東京生まれ。小説家。東京開成中学を肺結核のため休学。卒業後、長兄の会社で働いた後、終戦後に学習院大学中退。在学中に同人誌『学習院文芸』(後に『赤絵』)を創刊。『星への旅』(太宰治賞)、『深海の使者』(文藝春秋読者賞)、『ふぉん・しいほるとの娘』(吉川英治文学賞)、『冷い夏、熱い夏』(毎日芸術賞)、『破獄』(讀賣文学賞・芸術選奨文部大臣賞)、『天狗争乱』(大佛次郎賞)。他に『吉村昭歴史小説集成(全8巻)』などがあり、菊池寛賞、日本芸術院賞も受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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mondo

36
このエッセイ集は、吉村昭がこれまで執筆してきた作品の取材の爪痕である。これまで読んできた作品との再開のような気持ちでページをめくる。このエッセイ集の中で一番ページ数の多かった作品は、「神々の沈黙」の心臓移植に関する取材の記録だった。本編で触れていない吉村昭の心情が改めて浮き彫りにされているように感じられた。戦争を例にたとえ、「心臓移植手術が人間の奇怪な本質にふれた虚構の世界にあるもののように感じる」と吐露した吉村昭の言葉が全てを物語っている。もう一度、本編を読み返してみたいと思った。2023/01/22

タツ フカガワ

27
本書には『戦艦武蔵』『高熱隧道』『神々の沈黙』『破獄』など、自身の著作の裏話が多い。なかでも世界の心臓移植を追った『神々の沈黙』に関した章は、札幌医大の和田教授の移植手術が正当な治療だったかという点に絞ったものです。心臓を提供された患者は本当に移植が必要とされるほど重篤な症状だったのか。また提供した患者は、今で言う脳死を正しく判定されていたのか。和田教授の事実と異なる説明は、手術前から移植被験者の死後まで続く。それらを丹念に検証していく吉村さんの取材力に改めて脱帽。これホントに怖い話でした。2021/04/02

ちゃま坊

22
ここで取り上げているいくつかのテーマで、最近の時事ニュースが頭をよぎる。先月北海道のヒグマに釣り人が襲われた事件。ロシア軍が囚人を最前線に送り戦わせている件。北海道の過酷な環境で開拓の重労働を囚人にやらせた「赤い人」と似ている。リニア中央新幹線のトンネル工事が進んでいるが、丹那トンネル工事で地上の盆地の水が枯渇したとある。そして崩落事故。このところの地震多発は100年前の関東大震災を思い出す。吉村作品を読んでくると考えてしまう。もしかすると歴史は繰り返すのかもしれないと。2023/06/08

なにょう

16
★余話って油断してたら、下手な小説より余程、考えさせられた。★日本初の心臓移植、その時、何が行われたのか。執刀医の和田医師は、学会でも重きをなし、先年、寿命を全うしたが。憶測を嫌う吉村さんは、和田医師の疑惑の解明に挑む。浮かび上がる事実に肌に粟立つ。人は医学の発展・自分の功名の為に、人の生命・体を道具にすることすら厭わないのか。★今は、ネットで何でも調べられるけど、吉村さんはことに東北・北海道を丹念に踏査して回った。2016/03/06

kinkin

14
作品の取材を通して出会った人、歴史、感想など。それにしてもひとつの作品を仕上げるのにとても綿密な取材に驚かされた。2014/03/09

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