雨更紗

雨更紗

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  • サイズ B6判/ページ数 141p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309009018
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

この頃、妙な夢を見るんです。二重人格は夏越し祭りの夢か?幽霊に抱かれたのは雨夜の幻か?各紙誌絶賛の異色作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

94
梅雨の夜には幻想的な物語がよく似合います。二重人格は夢なのか。ひんやりとした雨音と水の匂い。仄暗い部屋の灯。青白い少年の肌。絶対的な少年の存在感と滲んだ雰囲気が心地良い。静かに狂う登場人物が好きだなと。低体温になる感覚とその世界観に魅せられました。2016/06/26

(C17H26O4)

78
長野さんの雨を感じる物語でも読めばざわつく心も少しは落ち着くかもしれないと思い、先日頂いてきた図書館除籍本を手に取る。散漫な思考を謎めいた物語に揺蕩うにまかせて読んだ。二重人格のやたらと大人びた少年と彼を愛する男性教師、少年の家族らの誰もが不確かな雰囲気を纏い、捉えようとしてもうまく像を結ばない。物語自体のせいか、わたしのせいか。今は謎は謎のままで、今はこのままでいいや。2021/05/05

Lumi

16
二重人格の少年が主人公。これは、雨の日に再読したいなぁ。この作品は、起承転結がないというか、その波が静か。一昔前のどこかの少年の人生を一部切り取った、その話みたいな感じがする。少年の妖艶さに惹き込まれた。妖艶という言葉は本来女性に対して使うものだけど、妖艶というのがぴったりだと思う。 聞いた事もない難しい日本語は何処で知るのかな。日本語の持つ色気や美しさにも浸れる作品だと思った。 結局少年はどうなったのか、どうなるのかよく分からなかったけど、この浮遊感 気持ちいい 2019/01/28

はなうさぎ

12
哉と玲という二つの人格を持つ少年。冒頭は二人として登場するが、途中から真相が明らかにされていく。現実だけれども、存在していない不確かさ。自身としての心の揺らぎ。やっとたどり着いた本当の自分の心。けれども個としての自分はすり替わったままなのか。哉を取り巻く人々。女性陣は、ありのままを受け入れられず、一つの人格の個にこだわり、男性陣は、彼がもつ全てを含む個を受け入れる。実存と虚構を対比させることで深みを増している。人の想いを男女の脳の働きの違いで描きわけてるみたいで、なんとも鮮やか。またも長野ワールドに浸る。2016/10/28

らびぞう

8
不思議な話。哉(はじめ)と玲(あきら)は、従兄弟同士。物語は、玲が学校を休み、越知先生から預かった筆記帳(ノート)を哉が、小手山の玲に届けるところから始まる。しかし、哉は、この小手山の旧家のことが気に入らない。そうして、出会う人から、何故か、玲と間違われる。従兄弟だから、似ているのか。読み進めると、艶かしくも怪しい物語となる。何とも不思議な物語。頭の中にすぅーと薄膜が張り、夢の中でいる感じがする。2022/04/29

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