内容説明
9歳の少女マティのユウウツのたねは、チッカディさんがくれた黒うさぎのシルヴェスタのこと…。誰よりはやくサンタがくれたサファイア色のクリスマス物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちはや@灯れ松明の火
54
枕元の靴下をどきどきしながら覗き込むほどコドモじゃない。パパやママは、サンタさんがどこに住んでるかなんて知らないでしょう。わたしのシルヴェスタ、サファイアの睛の黒いうさぎ、ふたりはともだち。なのに、クリスマス旅行はシルヴェスタだけお留守番。湖畔のホテル、色とりどりのフルウツにケーキ、雪の原の樅木の煌き、とびきりの休暇も晴れないユウウツがくもらせる。ねえ、ほんのちょっとだけ早く、プレゼントをちょうだい。パパもママも、三角の帽子にも橇にも気づいてないの。わたしとシルヴェスタ、いっしょにいられる魔法をかけて。 2012/12/25
冬見
17
外国の児童文学のような雰囲気。突然現れた弟よりもうさぎが大事っていう気持ち、ちょっとわかる。すこし不思議で怖いメルヘン。長野まゆみ先生はわたしが知ってる中で、こういう話を書くのが最も上手い作家。本作は『聖月夜』に短編として収められている。コラージュで描かれた挿画が素敵。装画・イラストはもちろん長野まゆみ先生。長野先生の初期作品を単行本で集めたい理由はこれ。2018/02/27
リリィ
9
クリスマス旅行の日はどんどん近付いて来るのに、憂鬱な気分になる少女マティ。友達の黒兎シルヴェスタを置いて旅行に行かなければならないからである。去年生まれた弟フランシスに嫉妬する気持ちもあり、素直にクリスマスを喜べない。シルヴェスタの送り主、チッカディの元へ相談に向かうが…珍しく少女が主役。可愛らしい絵本に見せかけて、ラストでドキッとさせられる奇妙な物語。マティの無邪気な残酷さが怖い。両親には早くマティの寂しい気持ちに気付いて欲しい。英字新聞やマスキングテープを用いたコラージュ挿絵が素敵。2014/10/08
紫陽花
5
珍しく女の子が主人公の話。子供の頃、どこへ行くにもぬいぐるみを連れていた時期があったなぁと懐かしい気持ちになりました。マティの、弟フランシスについてのユウウツには共感できた。途中の挿絵?というかマスキングテープや英字新聞の切り抜きのようなもので描かれた絵がとてもかわいくオシャレでした。2014/08/12
もち
4
典型的な童話ストーリーではあるけどこれはなかなかブラックメルヘン…と思ったのは私が素直じゃないからだろうか……と他の方の感想を見たら不気味、残酷という言葉が。やっぱりあの感じは狙って書かれてるんでしょうか。2012/12/12