内容説明
自然環境の保全と防災という観点から、専門科目を横断する総合的な視野で、初めて地すべりのことを学ぶ人、地すべりや山くずれに関連した仕事に就く人のために、「基礎的な知識が身につく」入門書。
目次
地すべりってなに?
地すべりの社会学
斜面堆積物の特徴
地すべりと山くずれのメカニズム
地すべり地形
地すべりと粘土
山地斜面の粘土
地すべりの原因
岩石と粘土
岩石の不連続面
地すべりを起こしやすい地形
地すべりと農林業
斜面の動きを知る方法
地すべり、山くずれから逃れるには
著者等紹介
高谷精二[タカヤセイジ]
農学博士(北海道大学)。1942年徳島県に生れる。1965年愛媛大学農学部林学科卒業。1968年北海道大学大学院農学研究科修士課程修了。1972年南九州大学園芸学部。2008年南九州大学環境造園学部教授、定年退職。現在、南九州大学環境造園学部非常勤講師。受賞:「平成5年鹿児島集中豪雨」(NHK映像ニュース賞、金賞)1994年(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
33
「~の実際」では歯が立たず、こちらの入門書へ。やはり一番のキモは地質学および風化・変性のメカニズムであまり難度は下がった気はしない。しかし、P21の冒頭の名文【高いところにあるものが下に落ちるのは、人が魅力的な異性に惹かれるのと同じぐらい自然なことです。また何かをきっかけに、彼女(彼)とのコンタクトを取ろうと狙っているように、山も何かをきっかけに崩れようとしています】は妙に目立つ比喩でした。先生、どうされたのでしょう?第14章の山くずれの前兆、そして崩れる土砂の量の見極めは具体的でイメージしやすかった。2022/07/04
aki
2
地すべりのメカニズムや粘土・岩石について、記されている。地すべりや山崩れは、岩石が風化して粘土になる過程で発生するという説明に納得した。「地すべりと農林業」の章では、地すべり地域は平野部に比べて米の収穫量が多かったという過去の研究結果が紹介されていた(理由は、水が豊富で粘土分が多く耕しやすい。地すべりで数年から数十年の周期で土地が深く耕される、など)。現場を廻っていると、山奥の地すべりが絶えない場所にどうして集落ができたのか不思議に思うことがあるが、地すべりの恩恵を生かした生活の結果なのだと再認識した。2021/04/25