出版社内容情報
『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ
累計127万部突破の大人気シリーズ! 岬洋介が挫折し、別の道へ進もうとしているときの物語。
2006年。法曹界入りした天生高春は、ピアノ経験者のようだがなぜかクラシック音楽を避ける岬洋介とともに、検察庁の実務研修を受けていた。
修習の一環として立ち会った取り調べの場に現れたのは、絵本作家の夫を刺殺したとして送検されてきた絵本画家の牧部日美子。
日美子は犯行を否認しているが、凶器に付着した指紋という動かぬ証拠が存在する。
取り調べが打ち切られようとしたそのとき、岬が突如ある疑問を投げかける……。
内容説明
司法試験をトップで合格した司法修習生・岬洋介。同じく修習生の天生はひょんなことから彼と親しくなるが、クラシック音楽を避ける岬が実はピアノの天才であると知り、彼の正体に疑問を抱く。そんな折、二人は修習の一環でとある殺人事件の取り調べに立ち会う。凶器から検出された指紋は被害者の妻のもののみで、犯人は彼女しかいないと思われた。しかし岬は無罪の可能性を主張し…。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』にて2010年第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
147
岬洋介が司法試験をトップで合格して、司法研修所に入所して司法修習を行った時のエピソード。「どこかで~」が高校生の時だからその数年後という設定。全編にベートーヴェンの曲が溢れており、読書と平行して同じ曲を聞いていると「あの描写はここだ」と頷くところがあり読んでいて楽しい。事件が出てくるのは、さいまた地裁での実務研修における検事調べ。岬のピアノ演奏と事件の調査が続くが最後に思いもよらない大どんでん返し!この話に続く「合唱 岬洋介の帰還」がとても楽しみ!2020/09/18
れみ
147
「どこかでベートーヴェン」の続編。主人公は、司法試験に合格し司法修習生となった主人公の天生(あもう)高春。親しくなった岬洋介とともに、修習で担当した事件の真相に迫る…というお話。岬洋介が17歳のときにピアノの道を諦めて5年後。司法試験に早々と合格し修習でもとびきり優秀。さすが岬洋介というしかない。しかも、諦めていた道を再び歩き始めつつ、関わった事件も綺麗に片づけて。相変わらずかっこ良すぎるなあ。まだ続きがあるみたいで、しかも中山七里さん作品のキャラクターがたくさん登場するお話らしい。楽しみ!2020/07/24
ひさか
138
このミステリーがすごい!大賞作家書き下ろしBOOKvol20(2018年3月)、21(6月)、22(9月)、23(12月)、24(2019年3月)掲載のものを2019年4月宝島社刊。2020年4月宝島社文庫化。岬洋介5作目。岬洋介の司法修習生時代の長編。物事を見抜く才能、音楽への才能と情熱に驚きました。大きな事件ではないですが楽しめる展開でした。80歳を超えた高円寺静が指導教官として岬の司法への思いにアドバイスするところと事件調査の許可を出すところに合計10頁程度登場してますが、存在感あって素敵でした。2021/07/30
しいたけ
112
取れそうで取れなかったクレーンゲームの「もういちど」とは訳が違う。『どこかでベートーヴェン』で岬洋介はベートーヴェンを「僕の羅針盤」と言っていた。だがあの悲劇があり、絶望があり、ピアノから離れた。そしてこの本で、「もういちど」ベートーヴェンと向き合ったのだ。彼の胸の熱さに、こちらも熱くなって拳を振り上げて応援した。結果、バックに流れるのはベートーヴェンではなく「ロッキーのテーマ」。申し訳ない。2020/06/28
いたろう
87
(再読)岬洋介シリーズの新作が出版されたと聞いて、この本が文庫書き下ろしの新作だと思って、図書館で借りてきたら、既に読んでいた単行本の文庫版だった。読み始めて気がついたものの、この本しか持たずに家を出たので、やむなく読み続けたが、これがまた、再読でも面白い。本当の岬洋介シリーズの新作「合唱 岬洋介の帰還」は、本作で洋介のバディとなった天生のピンチに彼が駆けつける話とか。本作のラストに「僕でよければ地球の裏側からでも駆けつけますよ」のセリフがあったのを再読するまで忘れていた。ちゃんと前振りになっていたのか。2020/07/14