出版社内容情報
初刊は昭和4年12月、第一書房より刊行。透明感のある美しい言葉が、ふるさとへの郷愁を静かにあたたかくうたい上げます。
目次
皿(皿;洋灯 ほか)
家根に鳶尾科の花の咲いた家(家根に鳶尾科の花の咲いた家;ふるさとにて ほか)
麦粉をはかる夢(河口村;本栖村 ほか)
軽井沢の氷菓子(しそのほし葉、川魚、みかん水;障子 ほか)
明るい雨(春;春夜幻想 ほか)
著者等紹介
田中冬二[タナカフユジ]
1913年、立教中学校を卒業。安田財閥の第三銀行に就職。1929年、第一詩集『青い夜道』を第一書房から刊行。1942年、日本文学報国会発会式が日比谷公会堂で行われ、詩部会幹事となる。1944年、『橡の黄葉』で、文芸汎論詩集賞の特別賞として文芸汎論名誉賞を受賞。1960年、日本現代詩人会H氏賞選考委員長に就任。1961年、日本現代詩人会理事に就任。1962年、『晩春の日に』で第五回高村光太郎賞を受賞。日本現代詩人会監事に就任。1971年、紫綬褒章を受章。1977年、勲四等旭日小綬章を受章。1980年4月9日、老衰のため自宅で死没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
warimachi
1
ぢぢいと ばばあが/だまつて 湯にはひつてゐる/山の湯のくずの花/山の湯のくずの花「くずの花」2018/09/03
きりぱい
1
食べ物に関する言葉が印象的に用いられ、そのみずみずしさにのどが鳴る。故郷をテーマにしたものにもモダンなイメージが漂う。2008/04/13
ちづ
0
少女の頃から大好きな詩人。風景や古くからの風習を削ぎ落としたことばの数々で うつくしく綴っている。幼い時に夏休みや春休みに遊びに行った母の実家を思い出す。切なくて涙ぐみそうになる。季節を感じたくなったり、心がささくれ立った時に読みたくなる詩集。彼のことばに触れると、日本人でよかった!と切に思うのである。2013/07/06
そう
0
静かに、うららかに、鳥の声が響いてくるような風景。微か。昼間と夕暮れ。夜。田中冬二の詩は匂いも手触りもちゃんとあるのに、どこまでも静謐だと思う。2009/04/02
fantamys
0
さみしい田舎道の懐かしい匂いのする詩集2021/10/03