バイエルの謎―日本文化になったピアノ教則本

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  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784276212589
  • NDC分類 762.34
  • Cコード C1073

出版社内容情報

世界的ロングセラー、バイエル・ピアノ教本。ピアノ導入期から日本文化になった経緯、彼の出自。謎を追い求めたドキュメント。

世界的ベストセラーとして、出版されてから160年間ロングセラーを続けているバイエル・ピアノ教本。ピアノ導入期から日本文化にまでなった経緯、バイエルの出自……実は、まったく謎に包まれているのだ。ふとした疑問から、バイエルの足跡をたどった筆者の記録、日本とドイツ、数年にわたりバイエルを追い求めたドキュメンタリー。

プロローグ バイエル文化の謎/第一の封印:第一章バイエルをめぐる日本人の愛憎~バイエル不在説、長く使われた理由、懐かしい風景、バッシング、偽の伝記/第二章バイエルを日本に持ってきたのは誰だ?~定説、ハイエル・メトデ貳拾冊、エメリース弐拾冊、メーソンに宛てた書簡、音楽院・ピアノ・メソッド、音楽院の便覧、編集したのは誰か/第三章初版はいつ出版されたのか?~ムジカノーヴァ、ホフマイスター音楽図書月刊目録、初版の値段/第四章バイエル偽名説~万国音楽家列伝、酷評、写真の出現/第五章チェルニー・バイエル同一人物説~推薦状、推薦は本物か、原著で裏を取る、したたかな広告/第二の封印:第六章バイエル初版ウィーンでは人気があったバイエル、万霊節、ニュルンベルクのマイスタージンガー、王室音楽御用達出版者/第七章脅威の多作家~ショット社、門外不出、ショット社出版目録、重複した作品番号、バイエル併用曲集/第八章最古のバイエル~ニューオーリンズの初版、教会と市役所と城のある小さな都市、マニュアル、イェール大学/第九章エディション研究~初版復元、姿を現した初版本/第三の封印:第十章静かにした手~バイエル受容史、異常な拡張、模倣、天才ピアノ教育家、レーライン・ピアノ教則本、音楽新報、クララ・シューマン、和音聴音、いろおんぷ、体系/第十一章シュー・クリーム~合本、番外曲、歴史的経緯、お楽しみ曲、整理、解答、第四の封印/第十二章改築申請書~終焉、宣託、死亡証明書、住所録、聖ランペルティ教会、洗礼記録、旅は終わらない/第十三章最後の秘密~新しい情報、先祖の地、プロテスタント教会音楽、断絶、家族の歴史、受け継がれるもの、母と子と、讃美歌集とオルガン、教会歴/エピローグ:百四十八年後の弔辞/巻末写真資料

【著者紹介】
1948年、山口県生まれ。国立音楽大学声楽科卒、同大学院修士課程で音楽美学を専攻。山口芸術短期大学助教授、弘前大学教育学部教授を経て、2001年より奈良教育大学教育学部教授。19世紀、20世紀の環太平洋地域の音楽文化の変遷について研究中。著書に、『唱歌と十字架』(音楽之友社、1993)、『日韓唱歌の源流』(音楽之友社、1999)、『原典による近代唱歌集成』(編集代表、CD30巻+楽譜+資料、ビクターエンタテイメント、2000)、『唱歌という奇跡 十二の物語』(文藝春秋、2003)、『日本の唱歌と太平洋の讃美歌──唱歌誕生はなぜ奇跡だったのか』(奈良教育大学ブックレット第2号、2008)などがある。2001年に第27回放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、2005年に第35回日本童謡賞特別賞を受賞。奈良市在住。

内容説明

「バイエル」は、日本のピアノ文化にもっとも影響を与えた教則本。なぜバイエルなのか?バイエルとはなにものか?本当に実在したのか?100年以上も「バイエル」を弾き続けてきた日本人と日本の音楽史にとって、画期的な発見。19世紀の「謎の音楽家」バイエルを追って、著者は、アメリカ、ウィーン、ドイツを旅した。バイエルを日本に輸入した人、チェルニー&バイエル同一人物説からバイエル偽名説、初版の存在や、ついに見つけた戸籍簿まで、謎解きはスリリングに展開する。読み応えあるノンフィクション。

目次

プロローグ バイエル文化の謎
第1の封印(バイエルをめぐる日本人の愛憎;バイエルを日本に持ってきたのは誰だ?;初版はいつ出版されたのか?;バイエル偽名説;チェルニー・バイエル同一人物説)
第2の封印(バイエル初版;驚異の多作家;最古のバイエル;エディション研究)
第3の封印(静かにした手;シュークリーム)
第4の封印(改築申請書;最後の秘密)
エピローグ 百四十八年後の弔辞

著者等紹介

安田寛[ヤスダヒロシ]
1948年、山口県生まれ。国立音楽大学声楽科卒、同大学院修士課程で音楽美学を専攻。山口芸術短期大学助教授、弘前大学教育学部教授を経て、2001年より奈良教育大学教育学部教授。19世紀、20世紀の環太平洋地域の音楽文化の変遷について研究中。2001年に第27回放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、2005年に第35回日本童謡賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nobuko Hashimoto

20
ピアノ教則本の代名詞のように親しまれてきた大ベストセラー『バイエル』は、実は作曲者の名前。ところが、彼の経歴や他の業績は、驚くくらい伝えられていなかった。著者は古い文書をひもといて、彼と彼の教則本の謎を解き明かしていく。後半のクライマックスはミステリー小説のようでワクワク! 若手研究者との共著『バイエルの刊行台帳』と併せておすすめ。毎月連載している書評で取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=2018952021/05/31

noémi

15
息子にピアノを習わせる時、「バイエルは、メソッドとしてよくあません」といわれた。「未だにバイエルを使っているのは世界広しといえど日本だけです」、第一退屈だし…。え?不当に貶められた気分。でも、無名の作曲家の教則本がこれほどの広範囲にこんなに長い間使われていたのは単なる偶然か?作者は手がかりがほとんどないまま、神に導かれるようにドイツの諸都市を徘徊する。生涯が分かるにつれ、本来バイエルが意図した所が炙り出されてゆく。オリジナルは改革派教会仕込みのコラールの響きがする、実にドイツらしい教本だったのだ。2013/04/02

bluemint

11
家にピアノがあったのでバイエルの数曲は弾いたことがある。でも、海外ではバイエルなんて使っていないし、ヨーロッパでさえ全く知られていない。生まれた年もお墓もわからない。業績も音楽辞典の僅か数行の記述のみ。こんなに日本では初学者の殆どがバイエルを使っているというのに!日本の音楽教育に計り知れない影響を及ぼしたバイエル。著者は150年以上も前に発行された初版の追跡やその内容についての謎、古い教会に保存されている祖父母の記録まで辿り、その音楽の狙いまで明らかにした。推理小説顔負け。面白く、興奮した。2023/09/15

あやの

11
バイエルの初版と戸籍を探すエッセイ風の内容。何も解らず終わっちゃうのか?と思ったら、詳しい記事が出てきた….最初からこれがあればね~と思ってしまいますが、筆者があちこち回って情報を得たことで、バイエル教本の温かみを感じられる内容になったのかも。教会音楽や家庭音楽が基低になっているということで、何だか納得。 本音を言えば、もう少し譜例や写真が欲しかった。教本が手元に無いとわかりにくい。2014/08/07

もりけい

10
19世紀のピアノの教科書「バイエル」もようやく「ピアノランド」のような別の教材にかわりつつあるようです。退屈な教材のために挫折してきた人がいることを思うと、より楽しい教材で才能が開花してほしいです。2016/03/20

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