内容説明
アイヌ口承文学の認識論の理解なくして、アイヌ史の叙述は可能か。アイヌが経験した抑圧と自立性の関係を適切に言語化できない歴史学、すなわち文字文化の社会で形成されてきた和人の認識論の限界を見極め、異なる認識論同士の交渉の痕を繊細かつ大胆に検証する。
目次
歴史という課題、文学批評という方法
第1部 テクストとしてのアイヌ口承文学(アイヌ口頭伝承研究の「不在」;アイヌ口承文学におけるテクスト生産)
第2部 アイヌ散文説話とともに考える(アイヌの物語における社会矛盾の解決―交易の物語;生存の単位としてのカムイ・アイヌ・シサム―漁場労働の発生;様々な漁場認識―場所請負制についての物語)
第3部 歴史叙述とアイヌ口承文学の交渉(ウイマムと御目見、二つの認識論―儀礼支配言説をめぐって)
アイヌ口承文学のエピステモロジー
著者等紹介
坂田美奈子[サカタミナコ]
2007年6月、東京大学大学院総合文化研究科博士課程学位取得修了(博士(学術))。現在、東京大学大学院総合文化研究科教務補佐。法政大学文学部兼任講師。跡見学園女子大学兼任講師。現在の関心分野:エスノヒストリー、口承文学解釈のための方法論、先住民の思想分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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