内容説明
「遠い所から帰って来て駒込の奥に世帯を持った」健三に自身を仮託した漱石唯一の自伝的長編小説。ロンドン留学帰朝から処女作『吾輩は猫である』執筆前後における夫婦生活、岳父、兄姉、養父母など題材としたしがらみに対して論者の目が光る。
目次
「道草」
「道草」―日常生活と思想
『道草』の性格と位置
意識と自然―漱石試論
道草の世界
「道草」論―「則天去私」の完成
「私」と「公」の乖離
『道草』論
『道草』の認識
道草の影―「道草」論
『黴』と『道草』―そのリアリズムの特質と自意識の様相
『道草』
『道草』における作者と主人公の関係―マクレラン訳との文体比較を通じて
『道草』―構想と方法
「道草」における健三の対他関係の構造
「自伝」の効用―『道草』をめぐって
方法としての迂言法―『道草』序説
「道草」を読む―曖昧さをめぐって