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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
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この本の肝は著者の従軍回想にある。戦場で誰もが確率的存在になり、その生の苦労とは、絶えず己が剥き出しの確立の手触りを生なましく感じてしまうことにある。この本で歴史学、というより歴史への興味を向けさせるという目的が果たされているのだろうか。著者の戦争体験記はとにかく読ませる内容で、フランクルの『夜と霧』を彷彿とさせるような、「生きる」ことの意味を読者に問わせる。その意味で実存と歴史の間に「ワタシ」が在るという事実性を問わせるこの本は歴史への入門になっているのかもしれない。しかし後半の紀行文みたいなのは蛇足?2015/03/28