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出版社内容情報
目次
<第1巻第2分冊>
第8章 労働日
第9章 剰余価値率と剰余価値量
第4篇 相対的剰余価値の生産
第10章 相対的剰余価値の概念
第11章 協業
第12章 分業とマニュファクチュア
第13章 機械と大工業
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おたま
31
第1分冊は、抽象的な論理の展開だった。第2分冊に入ると、具体的な労働現場の様子が描かれ、それを通して二つの基本的な考えが述べられる。一つは「絶対的剰余価値」の生産について。つまり、必要労働以上に延長された、資本の自己増殖のための剰余価値。もう一つは「相対的剰余価値」の生産について。つまり、生産の仕方の発展(協業→マニュファクチュア(工場制手工業)→機械制の大工場)が生み出す労働の密度(生産性、効率化、合理化等)の上昇によって発生する剰余価値。この二つは、現在でも労働問題となっていることに直結している。2022/05/06
hitotoseno
6
この巻ではまず労働者は生産物を作るにあたって最低限必要とする労働時間ないし自らの使用価値を成立させるための労働時間(必要労働)、および剰余価値を生み出すための労働時間(剰余労働)という二重の労働時間を背負わされているという説明がなされる。その後、労働者たちがいかに劣悪なる環境で酷使されていたか、あまりにも法外な労働時間でもって資本家によって搾取されるに過ぎない剰余価値を生産しつづけていたか、ということが膨大なる資料によりつまびらかにされる。マルクスの資料蒐集のための努力がうかがわれるところである。2015/10/19
横浜中華街2024
4
1巻よりも読みやすい。8章「労働日」をはじめ多くの章でエンゲルスの「イギリスにおける労働者階級の状態」と同じように、当時の労働者の悲惨な状況を克明に描いている。読んでいて現在の日本の貧困問題、派遣切り、ブラック企業、社畜、過労死などの問題の根源とも言える分析が多々見られる。今後、ますます悪化していくだろう日本の貧困問題を読み解くためには、やはり一度「資本論」に立ち返る必要がある。「共産主義」国家が事実上消滅した現在であるからこそ読むべき名著。2016/04/28
実存主義的マルクス主義者を目指して勉強するアライさん
3
第一分冊に比べると理論的な難度という点では読むのがだいぶ楽になるのだが、労働者がいかに労働力商品として人間扱いされず、酷い目に遭ってきたかが延々と具体的に書かれるので、内容的にはもはや精神的ブラクラの域に入りつつある。しかしこれが資本主義というシステムの暴力的な本質であり、目を背けずに敵の本性を見極める必要がある。理論的には相対的剰余価値の概念が導入される第十章が重要。家内工業→マニファクチュア→大工業という生産様式の発展の流れは理解できたが、実情に即して見てみるとその過程が錯綜していて難しい。2019/11/28
浅井秀和 「不正規」労働者
3
本書は第1部第1編から第7編の理論で記述した資本の生産過程から剰余価値の生産、という資本主義の法則が、現実の資本主義社会ではどのようのに動いているのかということを「労働日」という編で具体的に告発調で記述した重要なパートです。デビッド・ハーヴェイは資本論講義で早く「労働日」の講義をしたがっていたがデリダ派が理論部分の価値論に異様にこだわりハーヴェイをあきれさせた、というエピソードを思い起こした、ハーヴェイ曰くデリダ派は政治的に無能だ、いや、デリダそのものが(そのものとは述べていなかったな笑)。2015/01/03