内容説明
近代看護の創始者フローレンス・ナンチンゲール。クリミアの過酷な戦地で看護団を率い、帰国後は政府を動かし医療・福祉の広範な改革を主導した彼女は、みずから病み人として半世紀、在宅に引きこもって暮らした孤高の人であった―。ベストセラー『まんが医学の歴史』の著者が向き合った、ナイチンゲールその生涯の物語。月刊『看護教育』で好評を博した連載内容を改稿、更に図説『看護覚え書』を描き下ろし、最後に、「ナイチンゲール誓詞」誕生と、彼女の最後の闘いと未来に託したメッセージに迫る『ナイチンゲールの夢―1893年』を収載した。
目次
第1部 ナイチンゲール伝(食卓恐怖症;神の声;舞踏会と農民小屋;天職は看護師;結婚か仕事か ほか)
第2部 図説『看護覚え書』(換気と保温;住居の衛生;小管理;音;変化 ほか)
著者等紹介
茨木保[イバラキタモツ]
医師・漫画家。1962年大阪府東大阪市に生まれる。1986年奈良県立医科大学卒業・同大学産婦人科学教室入局。1989年京都大学ウイルス研究所研究生として、発癌遺伝子の分子生物学的研究に携わる傍ら、週刊ヤングジャンプ増刊号にSF短編を発表しプロデビュー以後、漫画家・メディカルイラストレーターとして医学書・看護学書を中心に活躍。1995年医学博士。1999年大和成和病院婦人科部長。2006年いばらきレディースクリニック開設・院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いちろ(1969aMAN改め)
10
この歳まで、いわゆる偉人伝はほとんど読んだことがなく、初めてかの人を知る。クリミア戦争の白衣の天使、以上のことは知りませんでした。この本、漫画です。ネットでかの人が統計学を議会への報告に持ち込んだ最初の人、ということで興味を持ち読んだ次第。兵士が戦場ではなく、療養の地で亡くなる方が多いという現実を統計を取り、グラフを用いて英国議会へ報告、病院を変え、看護師の地位向上を図った人なのですね。そしてちょっと心を病んでいたようです。すごい人がいたものです。ご存知のない方は必読です。2015/10/13
くみん
6
これまでのナイチンゲールの人と成りが覆された。 これまでのとは違った意味で、すごい人だったと痛感した。 2017/09/24
のり
6
ナイチンゲールの生涯とベストセラー「看護覚え書」を漫画化。クリミアで地獄を見た後の彼女の生活は「白衣の天使」というイメージとは正反対の陰鬱なもの。多くの伝記は、イギリスの上流階級の家庭に生まれた彼女がクリミア戦争に行くまでに焦点を合わせたものだが、後半生の引きこもり生活にも注目。彼女を疎ましく思う人々が多い中、自分の死期を悟りながらでも、仕事に打ち込んで改革をしていこうとしていたことを知りました。漫画にしては字が多く、読むのに時間がかかりましたが、彼女の半生と看護覚え書を理解するのにとてもいい良書です。2015/08/13
春風
6
「白衣の天使」でも「統計学の先駆者」でもなく、家族との葛藤に苦しみ、周囲の人間を振り回し、後半生のほとんどを自宅に引きこもってすごした病人としての側面にスポットを当てた伝記マンガ。2014/07/05
Aby
5
フローレンス・ナイチンゲールの伝記漫画だが,子ども向けのものとは一味違う.発行元も医学書院.心の闇が深い(著者は「狂気」と).このくらいの人でないと,あの時代を切り開くことはできなかったのかもしれない.優秀な人だとは良く分かるのですが,「死ぬ死ぬ詐欺」で,フルパワーで罵倒してくるって,周囲の人には辛すぎる.2021/03/09