内容説明
本書は、平成７年度にアジア経済研究所において実施された「援助の実施とローカルレベルの行政」研究会の成果報告書であり、その考察の中心に援助を受け入れる途上国の「行政」を据えることで研究の焦点を絞ろうと試みた。本研究ではさまざまな事例を取り上げるが、できるかぎり以下の２点に配慮しながら検討を行っている。各章の対象事例としている国の援助受入れにかかわる行政のあり方について、その歴史的経緯、社会・文化的背景、組織図、実質的な機能の仕方などの実態を明らかにする。そうした行政のあり方が、援助プロジェクトの実施にとってどのような促進・阻害要因となっているかについて、できるだけ具体例にそった検討を行う。
目次
第１章 援助実施における現地行政の役割
第２章 農業援助におけるエキステンション・サービス―「緑の革命」とローカル・レベルの行政
第３章 パプアニューギニアの開発行政―援助の実施とその制約要因
第４章 タイにおける農業組織とローカル・レベルの行政―タイ国農業協同組合振興計画との関連において
第５章 ナイジェリアにおける援助の実施とローカル・レベルの行政―ローア・アナンブラ潅慨計画の事例
第６章 村落レベルの開発活動とローカル・レベルの行政―エチオピアにおけるＮＧＯの経験から
第７章 母子保健・人口計画プロジェクトと現地行政
第８章 地方分権化と援助事業の制度分析―取引費用アプローチ
補章 被援助途上国の地方行政上の問題―貧困緩和政策・環境保全政策の実施との関連で
