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内容説明
Dが村へ入ったとき、村人は困惑の中にも、見知った者に対する幾分かの親しみのまじる視線を彼に向けた。そしてDもまた、古びた館で開かれている舞踏会で、一人の少女が青い光を浴びて踊る夢を見ていた。Dは、その少女の名がシヴィルであることも、貴族の口づけを受けて30年間眠り続けていることも知らずに村に招かれ、村人は、Dの出現で平穏な村の生活が根底から覆される予感に脅えたのだった。そして、村へ入ったDを次々と刺客が襲った。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
71
シリーズ初期の良作のひとつ。タイトルどおり夢を主題にしているだけに全編に漂うしっとりとしたもの悲しさは随一。『たいへんよくできました』。貴族への恐れも少なく、豊かに穏やかな奇跡のような辺境の村。ただひとり貴族の口づけをうけて30年前から眠り続ける少女が夢のなかで呼び寄せたDの役割は…。著者が様々な形で扱い続ける“夢”という題材を、初期の今作では比較的ストレートに、夢を目覚めさせる側と夢を見続けさせる側の攻防として書き上げている。菊池版“胡蝶の夢”は悲しくも清冽な結末が印象的。2016/05/18
いおむ
16
既読本登録。2024/01/21
神太郎
9
Dの作品の中でも一番幻想的なものかもしれない。まさに夢という「世界」との戦い。2012/07/31
セイロン
4
幸せな夢とは何だろう? 私は幸せな夢も悪夢もいつかは醒めるからいいものだと思う。2014/06/13
makoboros
4
“夢”の世界をテーマとした、ちょっと毛色の違った作品。吸血鬼ハンターシリーズとしては、ちょっと物足りないけど、たまには、こういう雰囲気もいいかも。著者のあとがきの1986年11月26日という日付をみて、改めて驚いた次第。2013/10/13