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内容説明
辺境の捕虜収容所惑星エコニアに参事官として赴任することになったヤン。ところが着任早々捕虜の集団脱走事件が発生。夜中にたたき起こされたヤンは、副所長の身がわりで脱走兵たちの人質となってしまう。そんな中、収容所の主である帝国軍の老大佐ケーフェンヒラーは、ヤンにこの脱走事件の裏にあるものを告げる。そればかりか、ヤンが調査していたブルース・アッシュビー提督の謀殺説に関するある情報を提示してみせるが…。
著者等紹介
田中芳樹[タナカヨシキ]
1952年10月22日、熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年在学中に「緑の草原に…」で、幻影城新入賞受賞。1988年「銀河英雄伝説」にて第19回星雲賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みや
22
捕虜収容所の叛乱も、元々の調査対象である過去の謀殺事件も、どちらもとても良い幕引きだった。二つの繋がり方も絶妙。帝国と同盟が単純に「対立」という関係性ではなく、うねうねと絡み合い、影響し合っていたからこそ生まれた面白さだろう。ゲストたちの個性や魅力は存分に発揮され、主要人物たちからは本伝へと繋がる未来を窺えたのも良かった。特にパトリチェフの可愛らしさとアッテンボローの過去話が印象深い。「夢」という幻から醒めたじいちゃんたちが、穏やかな夢を見られますように。ストーリーや展開の仕方は、外伝の中で一番好き。2019/03/20
ヤギ郎
15
キャゼルヌに言われて、戦死した英雄アッシュビーの死について調査するヤン。途中で収容所の参事官に命じられて、惑星エコニアへ移動。そこで帝国軍の老大佐と出会い新たな情報を受取る。ちなみに、パトリチェフ大尉とであうのもここ。パトリチェフさんほんといいキャラしている。2017/01/17
Tetchy
7
なぜ田中がこのヤンの物語を紡いだのか、最後の最後に明らかになる。その内容は大した物でないにしろ、後のヤンの人生の波乱万丈さを考えれば彼にとってこの時期が歴史を探る趣味を活かせたという意味で最後の安寧の日々であったかに思え、尚更切なくさせる。現時点においてこれが『銀英伝』シリーズの最終巻である。作者としてはまだ語り尽くせぬ思いは確実にあると思うが、それは時間が解決する事。本統に最後なのか、それとも新たなる伝説が紡ぎ出されるのか、じっくりと待つこととしよう。2009/07/14
だまし売りNo
6
ヤンの人生観が描かれる。ヤンは「格式の高いレストランだとかえって窮屈で食事が咽喉をとおりません」と述べる。住環境も豪華な環境よりも、うらぶれた雰囲気が性に合う。窮屈よりボロがましという。ヤンは土の時代から風の時代という2020年を先取りしたキャラクターである。ヤンは、店と客が奇妙に馴れ合って初めての客を蔑ろにする店を嫌う。これも消費者感覚がある。東京03のコント「常連客」は常連客へのサービスが、他の客には不公正になることを笑いにした。常連客へのサービスは、常連ではない一般消費者には不公正感を与える。2020/12/26
浮草
5
パトリチェフやムライさん、ここで出会ったのか。帝国に対する共和国、思想が根本にあるはずだけれど、国として既存のものになってしまっているところに一石を投じるスパイとその助力によって作られた英雄。謎は一応解けた。外伝最終巻にして、共和国の意義を再確認。2022/03/25