徳間デュアル文庫<br> クラゲの海に浮かぶ舟

徳間デュアル文庫
クラゲの海に浮かぶ舟

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  • サイズ 文庫判/ページ数 267p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784199050756
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

科学者になりたかった。科学者になって怪獣を創りたかったのだ。―どんなものでも創れるシステム。なんでも売っているデパート。人に夢を見せてくれる機械。大人になったぼくは「会社」の技術開発部に所属して、新しい生き物を作る研究をしていた。だが、意に反した方向で進められることになった研究の続行を拒否し、会社を去ることになってしまった。そのせいであれに関する記憶のすべては、会社によって破壊されることに…。新感覚サイバー・ワンダー・ワールド。

著者等紹介

北野勇作[キタノユウサク]
1962年、兵庫県生まれ。甲南大学理学部応用物理学科卒。1992年、「昔、火星のあった場所」で、第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞。劇団『虚航船団パラメトリックオーケストラ』の役者でもある
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sk4

35
「まるでこれから映画がはじまりそうな闇が、そこにそのまま保存されていた。すぐにも使えそうな温かい闇」 新しい桜庭一樹を手にいれたので、再読。 この本は私に、桜庭一樹のもう一つの読み方を教えてくれた。 心を護るために構築されるセカイ。 そのセカイは時に外の世界からの力や侵入者によって脅かされる。 逆に、心を護る力が強すぎてセカイが暴走してしまう事もある。 藻屑の、腐野花の、月夜の、そしてミチオの、真一の、森鴎外の、セカイ。 理解できる。 その恐怖心を。 方舟を望む諦めを。2013/09/29

sk4

26
これは!すごい大作だった。 恣意的に断片化され続ける叙述は読みづらいが、リリカルな章タイトルからもわかる通りプロットは一本線。そしてラストのメッセージは強烈。 【引きこもりの宇宙】と言うべきか、内に引きこもるほど外界との境界が広がり、その距離を断片化されたメタ・フィクションが埋め尽くしている。 しかし外界からの使者、田宮麻実により強制的に断片の再構築がなされ、膨大化したエントロピーは矮小化され、距離感(フラクタル)が最小単位に再帰する。 そして外界との境に立たされた【君】であり【ぼく】の選択は? SF。2013/04/06

gu

6
再読。これこそまさに『逃げゆく物語の話』だと思う。あるいはとても切ない伝言ゲーム。何度も繰り返し再生されたであろう「ぼく」の記憶のために器として使い捨てられた人たちのことを考えると、恐ろしいような悲しいような気分になる。2012/07/06

ねぞう

3
難解だった。話の流れがなんとなくしか理解できなかった。絶対的な説明が少なく、これが真相かと思いきやそれも虚構かもしれないと言ってくる。どこがどうリンクするのかつなぎ目をもっとわかりやすくして欲しかった。2015/12/23

やんも

3
北野勇作の世界の原点、その2。主人公の意識が、様々な入れ物を巡り、再び自分自身に戻るまでの物語。のちの『ザリガニマン』や『イカ星人』に繋がる技術やアイデアが既に本作に登場している。読み比べて相違点を探すのも、面白いだろう。ところで処女作以来、主人公はどうしてみな孤独で、いつもなにか大事な記憶を封印しているのだろう。封印を解くと目の前には、空虚な世界しかない。映画館から出てきたら、いつの間にか街が無人になっていたような、そんな感じである。2012/12/29

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