内容説明
大阪の南方署、刑事課に配属の會川圭司は最初の現場でどじを踏んでしまった。犯行現場のバスルームで鑑識がみつけた髪の毛を流してしまったのだ。そんなヘタレな刑事が新しく組んだ相棒が黒岩という女刑事。こちらもお荷物扱いのようだが…。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年、大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒。93年『凍える島』(東京創元社)で第4回鮎川哲也賞を最年少で受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りゅう☆
88
ドジを踏んでしまった圭司は捜査から外され、女刑事黒岩が担当する刺殺事件を捜査することに。容疑者は妻。だが妻は行方不明。一方、少女ルカは生贄として山の神に捧げられるも狼に食べられてしまう。何度も生き返るがこの山からは抜けれない。そんな寓話と共に物語が進む。圭司の兄で交番のおまわりさん宗司、兄弟と親しい美紀ちゃん、黒岩の同居人智久など登場人物に好感度いい人が多い。宗司のラブは残念!寓話が意味すること、殺すに至った経緯、隠された真相など不快で重いけど、とても読みやすかった。またこの人たちと会えると思うと嬉しい。2020/12/25
セウテス
75
【南方署強行犯係シリーズ】第1弾。頑固でちょっと扱いにくいと思われている女性刑事黒岩花、彼女とコンビを組むのがちょっとヘタレな新人會川圭司である。夫の刺殺体がホテルの部屋から発見され、室内には妻の指紋が残されており、妻は行方不明の状態。上からは、早く指名手配をかける様に言われているが黒岩は何か引っ掛かっていた。DV問題がテーマとして在り、一応警察小説であるが、さらりとしたミステリで推理もしやすい。近藤作品らしく、謎解きより人物のキャラが少しづつ明らかになり、お互いの関係が作られていく過程に興味を引かれる。2020/12/23
あっくん
58
南方署強行犯係シリーズ。寓話と事件が絡んで面白かったです。お兄さん、いいなぁ。次回作も読んでみたいと思います。2016/11/01
KAKAPO
38
近藤史恵さんは刑事モノも書けるの?と半信半疑で読み始めた。最初は奇妙な寓話とありふれた刑事モノが交互に出てくる構成が気になるが、徐々に寓話の世界と容疑者の動機の間に繋がりが浮上し、近藤史恵さんならではの視点から観た世界が広がってくる。人物には親しみが感じられ、交わされる会話も心暖まるものだし、夫婦間に発生する問題についても鋭く切り込んでいるという面もある。そして狼の寓話は、決して子供向けとは言えないが、まるで長い年月に磨かれたかのような深さを感じる話しで、これだけでも成立しそうな完成度の高い物語であった。2014/08/29
そうたそ
36
★★★☆☆ 近藤さんの著書の中では存在感が薄い印象があるこのシリーズ。内容的にもそんなにパッとしないもので、いまいち知名度がないのにも納得がいく。警察ものであるのだが、そんなに堅苦しいものではなく、むしろキャラ小説と言ってしまった方が近い気がする。先にも言ったとおり、気楽に読める分、特にこれといってパッとするようなものもなく感想が書き難い。作中の童話と実際の事件がリンクするというシステムも別に真新しい訳じゃないし、どこか中途半端な気もする。すぐに読めて気分転換になる一方で、内容もすぐに忘れそうな気がする。2014/08/27