内容説明
源氏の血統が自分で絶えることを予感し、官途の栄達を願った鎌倉三代将軍実朝。異例の早さで右大臣に昇進した翌年(承久1・1219)正月、鶴岡八幡宮での拝賀の式に臨んだ折、兄頼家の遺児・公暁に殺され、予感は的中した。死に臨み、その胸中に去来したものは何だったのか?母政子の実家・北条氏の内紛にまき込まれ、政治から逃避、和歌・管弦に親しみ、渡宋をも企てた実朝の生涯を描く歴史小説の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カラス
2
政治というドロドロした世界と、まっすぐな実朝の描写が対比的で面白い。北条義時・源実朝・公暁、この三人が主な登場人物だが、前二者に比べ公卿の描写は圧倒的に少なく、終盤の展開は唐突であまりにも急な展開は興ざめだった。名作のなりそこねという感じで色々と惜しい作品だが、陰湿な義時と爽やかな実朝、この二人の描写には見るべきものがあり、特に和田一族の乱を描いた前半はなかなか読みごたえがある。2019/08/13
yuki
1
先日、実朝の墓に立ちよってからか、実朝に心ひかれています。鎌倉に暮らし造詣が深かった大仏次郎が描く実朝はやはりよかったです。和田塚をはじめまたこの街を新たな目で歩くことができます。2018/05/10
nukuteomika
0
主人公の実朝は同時代の人間と全く異なったメンタリティを持ったほとんど不可解な存在として描かれ、その時代の価値観の中で人々が繰り広げる政治闘争や意地が中心として描かれる。深い虚無感を感じた。2009/12/05
くまお
0
★★★★☆2022/04/12