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鬼はもとより

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  • サイズ B6判/ページ数 325p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784198638504
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

表の顔は万年青を商う浪人者。実は藩札コンサルが主人公。貧しさ故に最愛の妻と別れた最貧小藩の家老と、藩経済を立て直す!

どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、奥脇抄一郎は藩札掛となり藩札の仕組みに開眼。しかし藩札の神様といわれた上司亡き後、飢饉が襲う。上層部の実体金に合わない多額の藩札刷り増し要求を拒否し、藩札の原版を抱え脱藩する。江戸で、表向きは万年青売りの浪人、実はフリーの藩札コンサルタントとなった。教えを乞う各藩との仲介は三百石の旗本・深井藤兵衛。次第に藩経済そのものを、藩札により立て直す方策を考え始めた矢先、最貧小藩からの依頼が。

【著者紹介】
1948年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。経済関係の出版社に18年勤務したのち、フリーライターに。2011年『白樫の樹の下で』で第18回松本清張賞を受賞。江戸中期の武士の存在感が希薄になる時代、懸命にもがき生きる人々を描き注目される。新しい時代小説の可能性を、削ぎ落とし、余情に富んだ文体で示した。実は1992年に、本名の影山雄作で第18回中央公論新人賞を受賞し、選考委員の吉行淳之介を唸らせたという実力者。評論家の島内景二氏は青山文平を60歳を超え遅れてきた麒麟児と呼んで期待している。彼が満を持して書き下ろす最新長編。フリーの藩札コンサルタントを主人公に据え、飢饉にあえぐ最貧小藩の経済を如何に、誰も飢え死にせずにすむ藩に作り変えることができるのか? 同士として取り組む貧しい小藩の家老は、その間、鬼となって藩内の改革を実現する。藩札を使って藩経済そのものを根本から立て直す過程が、サスペンスを生む。新しい流通や、事業を取り入れ、突き進む二人の様は現在の日本の閉塞状況で如何にすべきかとも重ねて読めて、興味深い。青山文平にしか描けない斬新な長編時代小説!

内容説明

どの藩の経済も傾いてきた寛延三年、藩札掛となった奥脇抄一郎は命を賭すにたる御勤めと確信。飢饉の際、藩が命ずる実体金に合わない多額の藩札刷り増しを拒み、藩札原版を抱え脱藩。江戸で、表向きは万年青売りの浪人、実はフリーの藩札コンサルタントとなった。各藩との仲介は三百石の旗本・深井藤兵衛。次第に、藩札による藩経済そのものを大本から立て直す仕法に至った矢先、東北の最貧小藩から依頼が…。剣は役に立たない時代、武家が穀潰しでなくなる方策とは?三年で赤貧の小藩に活気ある経済状況をもたらしうるか!

著者等紹介

青山文平[アオヤマブンペイ]
1948年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。経済関係の出版社を経て、フリーライターとなる。2011年、『白樫の樹の下で』で第一八回松本清張賞を受賞、作家デビュー。時代小説作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナイスネイチャ

201
図書館本。貧しい藩を救う為、コンサルタントとして藩の財政を立て直していく物語。鬼になる覚悟、つまり人として嫌われ者になる、孤独になるのを振り払った覚悟でもあった。鬼から人に戻った時最後の結末になるのですね。やるせない気持ちが残る作品でした。2015/02/24

文庫フリーク@灯れ松明の火

145
なぜこんなにユーザー数が少ないのでしょう?地方限定の兌換紙幣・藩札の仕法を身を持って学び、浪人ながら藩札のコンサルタントとして生きる奥脇抄一郎。新たな仕法考え付いた奥脇に、舞い込む依頼は貧しさの極み・飢えて死ぬことが常態の島村藩一万七千石。緩慢に進行する藩の崩壊・領民の死を前に、鬼と化して改革に臨む執政・梶原清明。人の身で鬼と化すことは、命奪うことも奪われることも覚悟の上。なれど貧しさから抜け出すまでは、斬られても死ぬことさえ許されぬ修羅の道。降りしきる雪の下、抜き身の刀を手に舞う白装束の鬼。読了後→2015/04/26

遥かなる想い

130
江戸時代の貧しい藩の経済再建の物語である。 地味な内容を 男女の機微を交えながら、 丹念に読ませてくれるのは 著者の力量なのだろう。 奥脇抄一郎が取り組む 藩札の流通が 出来過ぎの感が強いが、清明の潔さとともに 心に響く作品だった。 2021/09/28

修一郎

112
“異次元金融緩和や信用経済の国債利率”やらの経済トピックは、なんとなく頭で理解してつもりだったけど,この本のあるくだりを読んでいる時に「ああっ,こういうことなのね」ってストンと腹に落ちた。今の経済にも通じるところがある時代小説。主筋は「武士は死ぬことができる」というサムライの覚悟だ。鬼呼ばわりは覚悟の上で苛烈に改革に取り組む梶原清明に対し、主人公藩札コンサルタントはやや傍観者的。後半の財政改革は上手く行きすぎで,書き急いでちゃちゃっと端折った感あり。面白かったので「武士と経済」のテーマで次作も期待です。2015/06/20

あすなろ

103
藩札という紙に、どう信用与え、どう藩の財政危機を救うのか?それがテーマの時代経済小説。武士とカネ・経済の不器用さも描く。個人的には、不必要に多い女性に関する描写が少しうっとおしく感じたが…。版木を持ち出して国を逃走するという主人公等の味付けには必要か。文章なも少し粗さあるが、総じて経済的なストーリー面白く早目に読了。これは新しいジャンルか?いろんな新しい知識を得ることが出来た。財政改革や新しい経済改革を行う英断の凄みを描いている点でも新しい。2015/05/17

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