その歌声は天にあふれる

ガヴィン，ジャミラ【作】〈Ｇａｖｉｎ，Ｊａｍｉｌａ〉/野の 水生【訳】

徳間書店（2005/12発売）

• サイズ B6判／ページ数 427p／高さ 19cm
• 商品コード 9784198621131
• NDC分類 K933
• Cコード C8097

内容説明

舞台は十八世紀の英国。行商人オーティスは、望まれない赤ん坊をロンドンにある「コーラム養育院」に連れていく、慈善の仲買人として知られていた。だがオーティスには、実は恐ろしい裏の顔があった。残忍な仲買人の父と汚れなき魂を持つ息子ミーシャク、ミーシャクが心寄せる天使のような少女メリッサ、メリッサと惹かれあう領主の後継ぎアレクサンダー、そしてアレクサンダーとともに音楽家になる夢を追う、貧しくも撥刺とした少年トマス。やがて、メリッサがある秘密を抱えてしまったとき、少年たちの運命にオーティスの影が…。様々な人物が織りなす愛と友情、絆と葛藤。物語を彩る音楽の描写が美しい余韻を残す、痛ましくも力強い群像劇。二〇〇〇年度ウィットブレッド児童文学賞受賞、カーネギー賞候補作。１０代から。

著者等紹介

ガヴィン，ジャミラ［ガヴィン，ジャミラ］［Ｇａｖｉｎ，Ｊａｍｉｌａ］
１９４１年インド生まれ。インド人を父にイギリス人を母に持ち、１１歳の時、英国に移住。伝統ある音楽院トリニティ・カレッジでピアノを専攻し、卒業後はＢＢＣ（英国放送協会）で音楽の仕事に携わる。結婚して二児の母となったのち、１９７９年に「Ｔｈｅ　Ｍａｇｉｃ　Ｏｒａｎｇｅ　Ｔｒｅｅ」で作家デビュー。インドを描いた作品が多いなか、十八世紀の英国を舞台にした『その歌声は天にあふれる』で、２０００年度ウィットブレッド児童文学賞を受賞、カーネギー賞候補にも選ばれた。他に、ガーディアン賞候補となったＳｕｒｙａ三部作など優れた作品がある。英国グロスターシャー在住

野の水生［ノノミオ］
東京生まれ（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[けろりん]

【第104回海外作品読書会】原題は、「コーラルの少年」18世紀の英国に於いて、孤児院の概念を変え、子供達に教育と、職に就く為の技術を習得させる事を目標としてキャプテン・コーラルが設立した養育園。貧さ故、望ぬ不幸な出産を余儀なくされた為、血を吐く思いで子を託す、親の心を冷酷に利用する仲買人オーティス。その息子、ミーシャク。父に牛馬の如く扱われ、意に反して惨い仕事を手伝わされる日々の、唯一の慰めは、聖堂のステンドグラスに描かれた美しい天使に会いに行く事。そんなある日、一人の少女との出会いが彼の運命を変える。

2018/02/25

[ｍizuha]

舞台は18世紀のロンドン。子供が生き長らえるのが難しかった時代を背景にした物語。なかなか登場人物が好きになれず(無垢の象徴なのだろうミーシャクさえも同様)難儀した。そして音楽が救いになるかと言えば、そうでもなかったかなという印象。さて、著者が子供たちに伝えたかった事が「こんなに過酷な歴史がある」という事なら､それは十分に伝わるだろうと思う。そういう時代があったのは、イギリスに限った事ではないのだけれど…。酒井駒子さんの表紙が素敵な、2000年カーネギー賞候補作。

2014/08/17

[R子]

研修の課題本。18世紀イギリスに実在した“捨て子の扶養・教育のためのコーラム養育院”と、その名前を利用して幼い子を集め人身売買を行っていたらしい通称“コーラム人"を題材に、物語が紡がれている。聖歌隊に所属するトマスとアレクサンダーの交流や音楽への情熱、アーロンが才能を見出され、その力を発揮する場面は美しいが、幼い子が辛い目にあう場面が多くて辛くて読了まで時間がかかってしまった...

2015/08/02

[mntmt]

すごい読み応え。舞台は、18世紀イギリス。恵まれない子どもたち、赤ん坊。慈善業の裏で行なわれる悪行。歌声が運命の鍵を握っている。時間を忘れて読みました。ヤングアダルトのジャンルって、本当に必要でしょうか。

2015/04/17

[myc0]

なんで児童書なの。子どもに責任はない。大人に課せられなければいけない責任、課題がたくさん。18世紀のイギリスを舞台に、子どもの人身売買や子捨てなどを子ども巡る情勢が描かれる。印象的だったのは、「運がよかったから」生き残れるという言葉。「運」だけで決まる人生…。読んでいて辛かったなぁ。黒人は白人の召使いとして重宝されており、孤児院から金持ちの家に引き取られた黒人の男の子は養育院のみなに羨まれて送り出される。だけど、実際に待ち構えているのは「黒い」ことへの好奇の目。可愛がるっているのと違う。同じ人間なのか

2014/01/18