沙門空海唐の国にて鬼と宴す〈巻ノ2〉

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  • サイズ B6判/ページ数 478p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784198618797
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

劉家の妖物が歌った詩が、李白の「清平調詞」であり、それはこの時代を遡ること約六〇年前、玄宗皇帝の前で、楊貴妃の美しさを讃えるために歌いあげられたものである―。それを空海に示唆したのは、白居易という役人であった。当時、李白はこれをきっかけに玄宗の寵遇を得たが、それを妬んだ宦官の高力士の讒言により、後に長安を追われることとなったという。それを知った空海は、楊貴妃の墓所がある、馬嵬駅に赴く。劉家と綿畑の怪は、安禄山の乱における楊貴妃の悲劇の死に端を発すると喝破した空海は、貴妃の墓を暴くことを決意する。墓の前で、空海は白居易―のちの大詩人・白楽天と初対面する。白は、詩作の悩みを、空海に打ち明けるのだった…。

著者等紹介

夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年、神奈川県小田原市生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。77年、「カエルの死」で作家デビュー。『キマイラ』『闇狩り師』『サイコダイバー』『餓狼伝』『陰陽師』など、多くの人気シリーズを持つ。89年、『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞受賞。98年、『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞
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感想・レビュー

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雪風のねこ@(=´ω`=)

117
謎の黒猫に取り憑かれた春琴の奇行から、楊貴妃に関係があるとみた空海と逸勢は馬嵬駅に向かう。楊貴妃についてよく知らなかったが、末路について倭国に逃げ延びた伝説があったとは。史実の安史の乱を元に構成されているが、途中で術の解けてしまった楊貴妃は哀れだったという他ない。術を施し、そして行方を眩ませた胡の術士が怪しいな。天の原ふりさけみれば~で有名な阿倍仲麻呂も出てき、鍵となる文書を遺している。乱に何らかの思惑が噛んでいる事は確かだ。妖しの出た綿畑(秦始皇帝の墓所)で宴し、月光の元詩吟する描写も印象的であった。2017/05/18

NAO

64
劉雲樵の妻が李白の「清平調詞」という詩を口ずさんだことからこの妖異な出来事が楊貴妃と関わっていると考えた空海は、楊貴妃の墓がある馬嵬へ向かう。そこで分かった新たな事実には、なんと玄宗皇帝に寵愛された日本出身の政治家晁衛(阿倍仲麻呂)が深く関わっていた。また、地中から声がするという怪異が起こった綿畑の下は始皇帝の兵馬俑だったことが判明。歴史の有名どころをこれでもかとぶち込んでくるという話の壮大さは、さすが夢枕獏というところ。この広げに広げた大風呂敷、どのように収束させていくのか。2018/01/19

むっちゃん✿*:・゚

36
[図書館本]超気になるところで終わった!!映画では安倍さんて日本人である意味あるー?と思ってた。一人だけやけに顔が濃いし(笑)さすが原作だ!いる!安倍さんはいる!てか、日本人が必要。楊貴妃もようやく登場して案禄山の乱も勃発し、色々なことが空海の時代も動き出す予感♪この分厚さだからかなり色んな事が起きて、頭の中がこんがらがってきた!それにしても、空海ってば賢しい。謙虚とはほど遠いな笑 相棒・逸勢との会話も面白い♪これがまだ二だって言うのもニヤニヤが止まらない(笑)まだこの風呂敷広がりそう♪早く巻ノ三…来い!2018/03/23

姉勤

31
長安の官吏に憑いた黒猫に起因する怪異を追う、空海と逸勢は、後の文人ととして名を馳せる、白居易,柳宗元と知己を得る。事件を追って彼らがたどり着いたのは、楊貴妃の墓。その墓には...さかのぼるほど約半世紀、先に唐に渡り、日本人にして高位に上った阿倍仲麻呂と、彼を重用した玄宗皇帝、そして寵姫・楊貴妃。安禄山の乱の裏で謀られた途方もない計画。道教の方術、ペルシャの魔術、そして密教の法術。後の世の我々からすれば、寄り道し放題の空海。このまま史実に戻ってこなくても...いいかな。2018/02/18

assam2005

30
ようやく楊貴妃登場。空海自身が生きた時代とはずれており、玄宗皇帝・楊貴妃は同じ時代を駆け抜けた安倍仲麻呂の手記にて描かれる。どこまでが作者の創作なのかはわからないが、ひとつの推理として考えると面白い。まだまだ謎は残ったまま。楊貴妃の末路、安倍仲麻呂の生涯、空海の謎解きが気になるところ。空海は人間離れした人物として描かれ、この時代をよく知らない私でもわくわくして、2巻読了。どんどん出てくる歴史上の有名人物、この後もまた増えるのか?!楽しみにしながら、いざ3巻へ。2018/03/25

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