内容説明
一九三四年のクリスマス、上流階級育ちの十一歳のキャロラインは、おじさんの家にあずけられていた。おじさんはやさしいけれど気弱で、性悪な家政婦のいいなり。家は寒く外出は禁じられ、友だちといえば、庭で見つけた身重の猫と、高い塀をこえて現れた町の少年ボビーだけ。キャロラインとボビーは力をあわせ、猫を守ろうとするが…。イギリス児童文学の実力派作家ウェストールが、おばあさんが孫娘に語るという形式で描く、育ちがよく気が強い女の子と貧しいけれど誇り高い男の子の、忘れられないクリスマスの物語。小学校中・高学年から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
163
美しい赤毛をもつ上流階級育ちのキャロラインはとっても魅力的。いじわるーな使用人ミセス・ブリンドリーに「自分の責任は自分で持つわ」なぁんて言い放っちゃうとこなんかいかにも外国のおませな女の子って感じでかわいい。ラストの一枚の絵のような愛あふれる光景も、大団円な終わりも、クリスマスに心をあたためてくれる。 でもいじわるの塊みたいなミセス・ブリンドリーがどうしてそうなってしまったのか、とか嫌われものの彼女は職を失ってどうなったんだろ…とか考えてしまうのはそれだけ私がおとなになったということかな。2019/12/25
MI
86
イギリスの上流階級育ちのキャロラインは、牧師のおじさんの家に預けられる。おじさんは優しいけれど、いじわるな家政婦ミセスブレンドリーのいいなり。家は寒く外出を禁じられ、友達といえば、庭で見つけた身重の猫と少年ホビーだけ。街には失業者があふれ、猫やいぬは捨てられる。人間も貧しく飢えてる。そんな中、ホビーとキャロラインは家政婦に見つからないように猫を馬小屋で秘密で飼い始める。家政婦のヒステリーさとキャロラインの賢さがクリスマス映画みたい。クリスマスの夜に起きた奇跡。時代背景とともにクリスマスの温かさにホッとした2023/12/13
榊原 香織
76
とてもイイ 短いお話ですが。 クリスマスにピッタリ。 イギリスが階級社会で、第1次大戦終わった後の時代(ダウントンアビーと同じ)と言うのは知っとかないといけませんが、子供へのプレゼントにもよさそう2022/11/28
帽子を編みます
68
クリスマスの奇跡を描いた物語です。気が強い赤毛の女の子が登場するだけでワクワクします。クリスマスに牧師のおじさんに預けられた少女の冒険です。気が滅入るような牧師館、邪悪な家政婦が、訪問者を追い返し、牧師をいいように支配しています。牧師は孤立に悩みます。一方、家政婦に邪険な扱いをされ憤慨するキャロライン、自分の居場所を探し、町の少年と出会います。階級差のある二人、身重な猫をみつけ世話をすることにします。町は失業者にあふれ暗い雰囲気、さぁ猫はどうなる。終盤の馬屋で起きた奇跡の情景は人々に希望の火を灯します。2021/12/26
ぶんこ
55
季節外れでしたが、素敵なクリスマスのお話でした。著者初読み。楽しいクリスマス休暇なのに、親は海外へ行ってしまい、牧師のおじさんに預けられ、そこには意地悪な家政婦。寒空の庭に追い立てられ、そこで身ごもっている痩せ猫と、貧しいけれど優しくてやんちゃなボビーと巡り会います。1930年代のイギリス、労働者階級の人々の生活ぶりに胸が痛くなります。階級社会のお嬢様だったキャロラインが、労働者階級のボビーと結ばれていたのが分かり、最後はほのぼの。気弱なおじさんにも良いクリスマスが訪れてハッピーエンド。2016/06/30