内容説明
付け根近くまでどす黒い紫に変色した手足。その表面にびっしりと生える、不気味な獣毛。無事なのは、顔と胴体だけであった。身体が小刻みに震えている。目尻からは涙が滲み出ていた。これが、日本中のファンを魅了する、あの人気アイドル岡江麻希の姿なのか？所属プロ社長野宮山のもとには、麻希の引退を促す脅迫状が届いていた…。人間の弱き心につけこんで憑依する、忌まわしくも妖しき“獣”たちの跳梁。猫又シャモンをひきつれて妖魔封じを稼業とする「現代の陰陽師」―九十九乱蔵の活躍を描く、超伝奇アクション。身長二メートル、体重一四五キロの巨体にみなぎる、本物の男の優しさ。これが乱蔵の憑き物落としだ！初期の中短篇を、本書にて完全網羅。シリーズ新装版の登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白きゅⅡ
14
【再読】高校生の頃、夢中になって読んだ現代版陰陽師シリーズの1、2合併版。30年位前の作品ですが、今読んでも色褪せることがないのは、名作の証でしょう♪キマイラシリーズより、エロスとグロさがあり、少し遣りきれない感がある話しもあり、さしあたって大人向けの伝奇小説といったところでしょう！2009/09/11
すきま風
8
なんだか不思議な余韻。グロい表現も多々あり、短編なのに妙に惹きつけられる。タイプではないけれど、大きくて岩のような屈強な乱蔵がたまに見せる優しい笑顔や照れたところが魅力的。登場する女性が皆美女なのもご愛嬌。2014/01/02
Kira
7
図書館本。現代の陰陽師九十九乱蔵が出くわす怪異譚。読みごたえたっぷりだった。中でも「陰陽師」の章がとてもよかった。蘆屋道満がよみがえったのかと､どきどきした。乱蔵にくっついている猫又シャモンの気まぐれが面白い。2018/03/25
かず１号
6
図書館で新装版が目に入って、久しぶりに読んでみた。 未読だったのは１２編中１編のみだったが、やはりワクワクしながら楽しんで読んだ。 アクションの中にエロ・グロが混じるのは夢枕さんの特徴だがそれも又良いアクセントになっているかな。 2020/04/12
そら
4
新装版も出てたので30年ぶりに再読。2と合本になって厚みはあるけど、すんなりと読了。 この頃の獏さんは勢いがあって面白い。また『闇狩り師』の続きと、『キマイラ』シリーズも改めて読みたい。2019/09/01
