内容説明
第三五代合衆国大統領、J・F・ケネディはホワイトハウスの大統領執務室へ側近たちを集めた。キューバと呼ばれる旧スペイン帝国領を支配している共産主義者が、ソ連との間に大規模な軍事援助協定を締結し、反応弾頭を備えた準中距離弾道弾を持ち込んだからだ。空爆か侵入か、東西両陣営に地獄の天使が微笑んでいる…1962年10月20日午前9時、悪魔の瞬間が始まった。その頃、東京では。…戦後最大の核危機を迎えた人類の現代史を検証、冷徹な筆致で分秒の緊迫場面を刻む佐藤大輔の超弩級新シリーズ第一作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
jojou
7
第三次世界大戦を奇跡的に生き延びた日本が宇宙開発に邁進する歴史改変SF(あるいは仮想戦記)だが、この第一巻はキューバ危機が最悪の結末を迎えるまでが描かれる、いわば序章。キューバ危機が核戦争へと直結するその過程の描写も真に迫っており戦慄するが、それ以上に各国各組織における各登場人物のリアルな心情描写が個人的には面白かった。とくに宇宙にかけるロマン溢れる思いが胸を熱くする。2022/01/03
鐵太郎
5
「俺は法螺は吹くが嘘はつかん。考えてもみろ。人はなんのために生まれたんだ? この、たかだか半径6500キロのゴミのような惑星でくたばるためか? 違う。絶対に違う。少なくとも俺はそれを認めない。人間は、この空の上にある世界を引っかき回して遊ぶために生まれたんだ」(P43-44) こういうオプチミスティックな言葉で始まる、崩壊する世界の中で生きる道を模索する日本人の物語、開幕。2009/11/29
はばたくキツネ
1
「征途」のエピローグでも少し語られた「宇宙開発競争において重要な役割を果たす日本」というIFを中心に書かれた仮想戦記。それを成し遂げる為にキューバ危機を回避出来ず全面核戦争を勃発させてしまうという無慈悲で大胆なプロット。相変わらずエピローグをプロローグに持って来る風呂敷広げでぐいぐい読まされてしまった。2011/08/14
まさのり
0
冷戦と下町ロケット。「自由に成層圏にも行動し得るすばらしい航空機」が凌ぎを削る石原莞爾が予想した昭和後期の世界2016/12/26