内容説明
開戦以来一貫して日米戦の非を唱えてきた井上成美中将は、昭和19年8月海軍次官に就任した。井上は直ちに海軍大臣米内光政と共に終戦工作に乗り出す。米内・井上にとって終戦とは降伏を意味し、そしてそれは国土壊滅という未曾有の危機を救う難事業であった。海軍の中で、“非戦派”というよりもむしろ“反戦”の立場を貫き、終戦工作の立役者として活躍した最後の海軍大将の生涯。
目次
苦難の一生と井上家の人びと
安心して死なせてくれ
1等大将加藤友三郎の対米不戦論
海軍分裂が不幸のはじまり
職を賭して伏見宮とたたかう
日独伊三国同盟つぶしの急先鋒
ドイツ軍はかならず敗けるよ
海軍をまやかした松岡外相の痴人の夢
反戦井上の一生の不覚
バカヤロー、何が「奇襲ニ成功セリ」だ
理にかなっていた珊瑚海海戦
井上校長の教育改革
日本初の終戦工作に踏み切る
天皇制より民族保存が第一