感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kouro-hou
19
SF4編、落語題材4編の小松左京短編集。表題作はニューギニア奥地で墜落遭難した旅客機の唯一の生存者を巡る中篇で、生きてるけど昔と別人になっちゃってるし、食料無いのに長期間生存してるし、どうなってるの?という件を特殊生物専門学者の主人公が追う。途中泣けたりと展開も波乱気味。オチの切れも良い。トリの「天神山縁糸苧環(てんじんやまえにしのおだまき)」は上方落語界の襲名題材の中篇。戦後の関西の風景や落語の芸の話などが落語初心者にもわかりやすく生き生きと書かれています。もっとSF以外の左京先生も広まるといいなあ。2015/04/05
けいちゃっぷ
4
短編集。表題作が秀逸。
tama
3
自本(ハードカバー版) 数えきれないほど再読。短編集。傑作ぞろいと言ってよろしいかと。情感や情景の表現は適確・穏やか・リズミカルで心が溶けそうになります。SFですよ!突飛な思い付きだけで書けると思ったら大間違いだぜ(どうもそう思ってSFを書いてるような最近の作家もいるけど)。話の運びも巧いなぁ。途中で止められないもんなぁ。一番好きなのは「天神山縁糸苧環(てんじんやまえにしのおだまき)」。読ませます!この本に入ってる作品で×は一つもありません。女性にもお勧めですが「明烏」に納得できない人もいるかも。2014/11/06
いづみ
3
SF8編。正統派からちょっとひねった感じのSF4作と、和の趣ある幻想的な話が4作。それぞれが作者の持ち味を魅せてくれます。やはり巻頭の表題作が秀逸。科学的な描写の積み重ねに、思わぬところから社会派の味付けを加えて、そして明らかになる驚愕の真実…更に上を行く結末にうならされます。一方の巻末の作品も、語りで引き込まれるこれも素晴らしい一作。2012/04/04
うえだ
3
短編集。前半の話はSFで、とても面白い。後半は、SFではなく幻想小説のような感じ。花街とか落語とか粋とかで良い感じに話が進んでセックスでオチが付く、というパターンのバリエーションで、面白いのだけど、SFを読みたかったので期待はずれだった。2011/08/28