出版社内容情報
雫井 脩介[シズクイ シュウスケ]
内容説明
23年前の時効事件の犯行は自供したが、老夫婦刺殺事件については頑として認めない松倉。検察側の判断が逮捕見送りに決しようとする寸前、新たな証拠が発見され松倉は逮捕された。しかし、どうしても松倉の犯行と確信できない沖野は、最上と袂を分かつ決意をする。慟哭のラストが胸を締めつける感動の巨篇!
著者等紹介
雫井脩介[シズクイシュウスケ]
1968年、愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年に第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『栄光一途』でデビュー。2005年には『犯人に告ぐ』で第7回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんふぁん
249
2018年6月17日読了。最上さぁーん!もう何なの、最後まで最上さんは最上さんでした。追い込まれていく最上さんは、こちらまで背中寒かったですよ!沖野さんは沖野さんで正義を果たしていたと思います。ふたりとも正義を貫いたんじゃないかなぁ?最上さんのやり方は間違っていたし、結局誰も救わなかったですね。沖野さんこのあと廃人になるんじゃないかと心配します。木村拓哉さんと二宮和也さんでこの作品を映画化するみたいですけど、見応え抜群やと思います。見に行きたいです。2018/06/17
ゆのん
205
面白かった!人が人を裁く事は本当の意味で可能なのだろうか。人としての感情を全く表に出さないのも、感情を出し過ぎるのも適していないように思う。そうなると判例や法律に則って裁く訳だが法律は万能なのかとなるとそうでは無いと思う。判例だって杓子定規に従えるものでは無いとも思う。最上検事の正義と沖野検事の正義。どちらが正しいのか答えを出すのは難しいと思った。2017/12/04
こーた
201
ひとは知らず識らずに、じぶんの見たいものばかり見ていることがある。好みの作家の本ばかりを読む。じぶんの考えと合う言説を探してきて読んで、溜飲を下げる。そうやってひとりで愉しんでいるぶんには、まだいい。でもそればかりだと、じぶんの意にそぐわないものに出くわしたとき、怒り出したり、排除しようとするようにもなる。そういう連中が権力を握ると、ストーリーを思うままに修正しようとしはじめる。そうやって冤罪が、歴史修正主義が生まれる。そんな昨今の傾向に、油断していると飲みこまれてしまう。怖ろしいことである。⇒2018/10/07
chiru
146
検事である最上の心にわだかまって残る、時効を迎えた少女強姦殺害事件。罪を逃れた当時の重要参考人は、第二の殺人事件の真犯人なのか。最上のとる行動はどう考えても成功確率に乏しく非現実です。でも、殺されたのが自分の子供だったら…自分が検事なら…と『自分』に置き換えることで、正反対の感情が生まれてしまう。その葛藤が作者の狙いのような気がします。若手の検事も、最上や刑事たちも、我が身を削ってまで正義を貫こうとする。その正義に正解はない、と分かっていても。そのジレンマがとても苦しかったです。 ★5 2019/12/01
yamatenodolphine
146
上巻読了時は何やってるんだ、最上!有り得ん!と思っておりましたが、最終的にはもしかしたら最上の考えは然程的外れでもなかったのかも?と考えてしまいました。もちろん彼の立場であれば一般人よりも更に、やっていい筈のないことをしてしまったわけでそこは情状酌量の余地はありませんが、下巻を読み終えた時点では本懐を遂げさせてあげたかったような気になっています。釈然としない終わり方というか…もしかしてこれは嫌ミスだった?映画では原作とは違った内容になっているそうで、何がどう違っているのかとても気になる今日この頃。2018/08/22