出版社内容情報
跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のヤクザ・・・。悩める患者たちをトンデモ精神科医・伊良部一郎が治します!
内容説明
伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が…。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒やされる名医か!?直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾。
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959(昭和34)年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、作家に。2002年に『邪魔』で第4回大藪春彦賞、04年に『空中ブランコ』で第131回直木賞、07年に『家日和』で第20回柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
1428
表題作は、第131回(2004年上半期)直木賞受賞作。サーカスという幾分アナクロニズムの漂う世界を描きつつも、主人公、公平の精神的なスランプは、ありそうな設定だ。奥田英朗の筆力が真価を発揮するのは、やはり伊良部の存在。彼こそが、ほんとうの主人公かと思いきや、これに続く4つの連作短編を背負ったのも、伊良部だった。次の「ハリネズミ」で面白さは加速度を増し頂点を迎えるが、ここからはどうしてもマンネリを免れない。そのことは作家本人も重々自覚していて、最後の「女流作家」では、自らその点を衝いて見せるのだ。2015/04/20
ehirano1
1000
「空中ブランコ」、「ハリネズミ」、「ホットコーナー」では人生の転換期に寂しさを覚え、「義父のズラ」では笑い過ぎて腹筋を痛め、「女流作家」では感動し、本作も前作同様に期待を裏切りませんでした。 患者を治すのではなく、患者が治るのを”手助ける”というは、医療のパラダイムシフトかもしれません。そしてそれは以外にも患者自身のすぐ傍にあるのですよ、と著者は伊良部先生を使ってメッセージを送っていると思いました。2016/04/14
遥かなる想い
843
楽しく読める本だとは思う。疲れた時に息抜きに読むには向いている。2010/06/02
Atsushi
841
笑いあり、涙ありの五話からなる短編集。様々なストレスや悩みを抱えた患者が、精神科医である伊良部医師のまるでコントでも演じるような破天荒な治療法で完治し復活の道を歩み始める。大人の童話のような読後感。お薦めです。第131回直木賞受賞作。2017/09/12
再び読書
768
前作より話としてまとまっていて、期待はずれの面と物語として感心する面の相反する感じです。ただ最後は「あー面白かった」と言うのが読み終えた直後の感想です。前作は伊良部を含む登場人物の極端さが、不思議に感じさせる作品でした。それに較べ本作品は本当に伊良部先生が悩みを解決すると言う当たり前の結末で帰結します。ただそれだけに終わらないのが、この作者の凄さでしょうか?しっかりと問題の奥底にメスをいれ(実際は執刀どころか、注射すら真面目に打っていませんが)、解決して最後にほっこりさせたり、ほろりとさせてくれる。2012/11/23