内容説明
余命短い父を看取るため、二十数年ぶりに故郷の田舎町へ戻ってきたロイ。かつて弟が自殺した事件の真相を探るうち、一生を不機嫌に過した父の秘密を知ることになる。そして町を牛耳る保安官の不審な行動。蜘蛛の巣のような家族と地縁のしがらみに搦めとられるロイは、だが次第に復讐のターゲットを見出して行く。
著者等紹介
クック,トマス・H.[クック,トマスH.][Cook,Thomas H.]
「緋色の記憶」で1997年度エドガー賞(MWA Best Novel)受賞の実力派。アラバマ生まれ。ニューヨーク在住
村松潔[ムラマツキヨシ]
1946年、東京生まれ。国際基督教大学卒
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
58
記憶三部作を彷彿させるプロットだが、いくぶん書き込みが弱い感がある。ただ、心の闇のようなものはクックらしく描写している。2010/05/16
hit4papa
51
殺人事件を起こしたあげく自殺してしまった弟の過去を紐解く物語です。謎の小出しで読者を引っ張っていくストーリ展開がクックの真骨頂ですね。人の暗い側面を緻密に描いていくので、作品全体がどんよりしているのもクック節。すれ違う思いが不幸をうんでいくというパターンと、じめついた湿度の高さがたまりません。あぁ、虚しい、うっとおしい ・・・しかし、これまでのクック作品と決定的に違って、ラストに微かな希望の光が瞬いてしまいます。自分は、救いなし、と徹底的にブルーにしてくれるクックがお気に入りではあるのだがなぁ。 2020/03/07
紅はこべ
32
アメリカの男性作家お得意の父と息子の物語。主人公のロイが殺人に関わっているとほのめかすかのような思わせぶりな筆致、情報を小出しにするやり方で、読者を焦らせる筆法、全体的に陰鬱なムード。いつものクック節ですが、今回はラストに一筋の光が見える。2010/03/20
聖月
9
◎序盤から中盤にかけて中々つかみどころなくなく、情報量の少ない小出しのカットバックに苛立ちを感じ(これがクックの持ち味なんだろうけど)、〇かななんて思ったけれども、クックとしては意外に救いがあり希望の持てる終り方に◎をつけた評者なのであった。10頁前後の26の章からなり、少しずつ読むのにも最適な良書であることには間違いない。ただし佳作かというと、そうとも言えず、良作くらいに感じた評者の読後感である2005/09/23
負け猫
6
他の作品に比べ、衝撃度が少なかった。ただ、希望のある終わり方がよい。2010/02/05