文春文庫
幻の漂泊民・サンカ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 392p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167679262
  • NDC分類 384.38
  • Cコード C0195

内容説明

一所不住、一畝不耕。山野河川で天幕暮し。竹細工や川魚漁を生業とし、’60年代に列島から姿を消した自由の民・サンカ。「定住・所有」の枠を軽々と超えた彼らは、原日本人の末裔なのか。中世から続く漂泊民なのか。従来の虚構を解体し、聖と賎、浄と穢から「日本文化」の基層を見据える沖浦民俗学の新たな成果。

目次

序章 サンカとは何者だったのか
第1章 近世末・明治初期のサンカ資料を探る
第2章 柳田国男のサンカ民俗誌
第3章 サンカの起源論をめぐって
第4章 サンカの原義は「山家」だった
第5章 発生期は近世末の危機の時代か
第6章 三角寛『サンカ社会の研究』を読み解く
第7章 今日まで残ったサンカ民俗をたずねる

著者等紹介

沖浦和光[オキウラカズテル]
1927年、大阪生まれ。東京大学文学部卒。桃山学院大学名誉教授。比較文化論、社会思想史専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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yoshida

132
60年代に姿を消した漂泊民サンカ。竹細工の箕や川魚を売り歩く。家族で野宿をし旅歩く。まさに漂泊の民。これは知らなかったなあ。きっかけは江戸時代の大飢饉か。耕作地を離れ山に入った人々。山林に自生する竹や棕梠で製品を作り農民に売り旅をする。明治になり戸籍制度により人里に居を構える。生計の維持の為に、居を構えても大半は旅をして暮らす。被差別民であるが、それだけ生きることに必死だった。後半にサンカとして生きた人々の話しが記載され、考えさせられる。 人々の様々な営みの先に私達がいる。興味深い日本の歴史の場面である。2020/05/20

まーくん

95
民俗学に馴染みなく、全く予備知識なしで読んだ。サンカというのは定住地を持たない漂泊の民で、家族単位で山中深くを巡り、川縁に小屋掛けし川魚を採り近郷に売るなどして糊口をしのぐ。1950年代まで存在していたというのは驚きであった。柳田國男は起源を日本の先住民に求めたが説得力のある説にはならなかった。著者は丹念な調査により、江戸末期、天明・天保の大飢饉の際、山に入り無宿者となり宗旨人別帳からこぼれ落ちていった人々が起源で、明治維新後も暫らくは戸籍にも載らなかったとみる。中国地方の古老からの聞き取りも興味深い。2020/03/27

ロマンチッカーnao

30
山遊びをして、川を伝い深いところまではいっていったことがある。その時、森を抜けると、一気に明るくなり、小さい池と掘っ立て小屋に出くわした。誰も人はいなかったけど、整理されたその区画は、良い所との印象を持ち、帰宅後、おじいちゃんに話した。その時に、そこにはもういったらあかんと言われ、そこは山の人たちの場所やとの事で、このサンカの事を聞いた。そんな人たち居たのかと、心底驚いた事がある。大人になり、おじいちゃんも随分前に亡くなったけれど、この本に出会い、あの時聞いたサンカを思い浮かべた。ロマン溢れる本でした。2015/10/02

かいゆう

27
サンカと呼ばれた漂泊民が、日本の各地に存在したという。なぜ漂泊生活をしているのか、そう生活していくしかなかったのか。単にこういう人たちがいたという記録だけでなく、歴史を遡って差別という問題が見えてきた。謎の看板が近くにあった、朝鮮人の子がクラスにいた、朝鮮学校もあった、商店街の片隅に白い服?をまとった人がいつもじっと座っていたなど、幼い頃の記憶に残っている。今思えばこの本に書かれている人たちや場所が、とても身近にあった。子どもの私は何も気にしていなかったけど。部落なんて言葉まだ残っているのかと驚いた2016/12/20

ロマンチッカーnao

23
日本にも漂泊の民・ジプシーが居たって知ってますか?この話を先日参加した読書会でしたくて、再読。日本の歴史は農業を基礎とし、その上に政治があった。漁業を中心とする海の民の存在もあった。知られているのはそこまで、山と川をねぐらとして、数か月単位で移動し住処を変えていくサンカの存在は全く知られていない。ジプシーのように大人数で行動するのではなく、数家族の単位で動き、川や山から得られるもので生活し、言葉は日本語だけど、文字はない。だから自身たちの血統書のようなものはないので、いつから存在しているのかわからない。2019/11/17

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