文春文庫
心では重すぎる 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 496p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167676018
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

115
大沢先生のスタンダードな直球ハードボイルド作品です。いい意味でシンプルに淡々と話が進み、確かに読みやすいのですが、なぜか軽くは感じることなく、その重厚な雰囲気にグイグイとひきこまれる感じがじわりじわりと深まっていきます。しかし、間違いなく「ハードボイルド」ですが他の大沢先生の作品と比べると、あまり濃厚なというか重量感?みたいなものは控え目かなと感じました。登場人物との係わり具合や話の流れが、慣れないうちは少しばかりクドく感じてしまうかもしれません。上巻なので、ひたすら耐えて?読み続けるしかないかなと。2013/06/29

えみ

57
とにかく飢えている。それは愛情か友情か情報か分からないけれど、飢えて飢えて狂暴になった若者達。何事何者にも囚われない振りしているが、全ては支配下に置かれて窮屈な思いをしている。なんとも痛々しい。そんな風にしか自分を主張できないなんてさぞや生きにくいだろうな…と憐れんでしまう。薬物依存症施設に入所している雅宗は一人の少女に飼いならされていた。探偵の佐久間は正規の依頼、消えた漫画家の行方を追いながら雅宗の飼い主を捜し始めるが思いもよらない展開が待ち受ける。人道の端、境界線上を歩く者と探偵が対峙する激熱の上巻。2021/08/12

きょちょ

20
新宿鮫シリーズ以外では彼の作品は初読。日本冒険小説大賞受賞ということで購入。後で知ったが、この作品もシリーズものだった。しかも最終巻らしい。私立探偵がいろいろ聞き込みをして「事件」?を明らかにしていくというだけではありきたりだが、彼の作品はそうではない。登場人物にそれぞれきちんと特徴をもたせている。特に、ここまで「憎しみ」をもった女子高生、錦織令、その「憎しみ」は一体何からくるのか。 面白い。 でも、マンガ出版業界やSMに関しての作者の「講釈」、「見解」は、ちょいと長ったらしいな。 ★★★★2015/10/07

ヨーコ・オクダ

19
こちらも再読のはずw探偵・佐久間公シリーズ。かつてめちゃくちゃ人気があったが、今は一線から退いている漫画家の現況を知りたいという依頼に基づいて調査をしつつ、佐久間が関わっている薬物依存者の更生施設関係の仕事を同時にこなしていくうちに、両者のいくつかの事象、人物がクロスしてきて…。探偵という職業の倫理観について、漫画家という人物、職業について、出版社、編集者の仕事、思いについて、SM嗜好の心理について等々、みっちり語ってくれている分、事件の進行はゆっくり目。下巻に続く。2016/10/07

乱読999+α

11
上下巻完読後の感想  久々に大沢在昌氏の作品を読む。佐久間公を主人公とした失踪人専門の探偵の物語。過去の物語がちょくちょく姿を現すが本作単体としても面白い。中年になった主人公の今時の若者達とのギャップに、平穏に暮らしている人の生活を興味本位で覘いているのではないか?そして壊してはいないのか?探すことで不幸にしてはいないか?と、探偵の在り方そのものに悩みながらも人を探す。決して派手さはないが、クールで淡々とした仕事の話はハードボイルドの王道と言えるものだ。重く、陰鬱な感想を持つがそれはそれとして良い。下巻へ2017/02/05

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