内容説明
サミー・デイヴィス・Jrを相棒に、LSDで錯乱するシナトラを道連れに、メキシコを暴虐の渦と化すスキャンダル記者の悪行を史上最高に狂った極悪狂騒文体で描く中篇をはじめ小説3本、異常犯罪の深層に迫るルポ、LAをめぐる叙情的なエッセイまでを収録。狂犬エルロイのCRAAAZYな才能の全てがここに。
著者等紹介
エルロイ,ジェイムズ[エルロイ,ジェイムズ][Ellroy,James]
1948年、ロサンジェルス生まれ。10歳のとき母を何者かに殺害され、以降、犯罪者同然の荒んだ生活を送るも更生、作家デビューを果たす
田村義進[タムラヨシノブ]
1950(昭和25)年、大阪市生まれ。金沢大学法文学部中退。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
26
1990後半から2000年にかけてのエルロイ作品を収めた犯罪ノンフィクション集。頭韻を踏みまくりの罵り言葉、「ダディー・オー!」、名詞の羅列からの「???」で真相への構成ピースを組み立てる思考へと読者を誘う文章体などのエルロイ文体をかっ飛ばしまくっている。また、一見、事件関係者や死者には尊厳がないようでいて美化することなく、ひとりの人間としてありのままに描く手法にはエルロイならではの誠意がある。これを踏まえるとGQ編集長の序文での「凄まじいまでのモラリスト」という評に大いにうなづくしかないのだ。2016/02/18
バ度ホワイト
16
第一部「未解決事件」から引き込まれた。「わが母なる暗黒」の続きというかおまけというか。おまけとかそんな軽いものではなのだけれど。エルロイの探求は続く。。第四部では映画監督カーティス・ハンソンの話が。短いながらこちらも引き込まれました。映画「LAコンフィデンシャル」裏話。もっと知りたい読みたいとワクワクした。2018/05/19
DEE
9
実の母親が殺された体験を持つ著者の回顧録と、何本かの短編。 彼の記憶と人生は、まさにその事件から始まっている。 そもそもが修飾しないぶっきらぼうな文章なので、短編は意味が分からないところもある。それが魅力でもあるのだが、やはりこの人は長編が面白い。2021/04/26
ツカモトカネユキ
4
2000年訳版発行。1999年原版発行。1993年から1999年に発表された四章11本に分けられた短編集。作者の母を含む未解決殺人事件のルポ。他作品にも登場するお気に入りキャラが主役を張る物語。作者自身の生い立ちをなぞるエッセイ。内容は、相変わらず強烈。LAの裏話は胡散臭さ満点。実際起こったこととそれをモチーフにする話のする流れや、短編を差し込むことでいろんな方面から楽しむことができます。しかし、散文的で読みづらさもあります。また、他作品とつながる部分も多いです。本作までの隙間を埋めるような一作でした。2024/07/08
ネムル
4
エルロイの犯罪ノンフィクション集。ぞくぞくする名篇ばかりだが、猟奇殺人の被害者である母の記録と向き合う「マイ・マザーズ・キラー」は劇薬。母が死んだあとの「わたしは父と暮らすことになった。翌日の日曜日、数滴の涙を絞りだしたが、以降は一度も泣かなかった」からもうキレキレ。「ジニーヴァ・ヒリカー・エルロイ 一九一五~一九五八。負い目は膨らむ。あなたの最期の恐怖は、わたしの手を焼く炎。あなたを愛していると言って、あなたの力をそぐつもりはない」、エルロイの心の深淵を恐々覗き込む圧倒的な体験。凄いが、ちょっと病む。2015/03/10