文春文庫
無法松の影

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  • サイズ 文庫判/ページ数 354p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167656782
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0195

内容説明

小説が発表されて以来、映画や歌の題材となり、深く日本人の心に浸透することとなった「無法松」。しかし、あのお馴染みのキャラクターは、戦後の自由と民主主義のもと、変容をとげたものだった。その変容を独得の民俗学的視点で捉え、この国の男らしさをめぐる領域と、リアルな歴史の再生に挑んだ意欲作。

目次

道よぎる雲の影のように―“松のおいちゃん”の方へ
無松法、一九三〇年代の岩下俊作に舞い降りること
岩下俊作、無法松捜しの世間に辟易すること
岩下俊作、細部に至る確かさを重ねること
岩下俊作、「力」を宿す風景に瞠目すること
無法松、異なる近代をとっととっとっ、と駈けること
無法松、民俗調査されて自己疎外の祇園太鼓を打つこと
無法松、異国人の視線を有する森鴎外に説教すること
無松法、さらに桃中軒雲右衛門を乗せて走ること
無法松、さまざまに複製され読み直されてゆくこと
吉岡良子、戦後民主主義にかりそめの自立を獲得したりすること
ハナ肇、無法松と化し戦後民主主義を戦車で通りすぎること―無法松の戦後的変貌

著者等紹介

大月隆寛[オオツキタカヒロ]
1959年生まれ。民俗学者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちあき

3
無法松という虚構の人物に焦点をあて、メディアの移り変わりとともに変容するそのイメージを追いながら、リアリティのありようについて考察した本。まず、実在のモデルという考え方がごく近年のものだという指摘は刮目に値する。火野葦平や松本清張、さらに森鴎外という補助線の引き方も説得力がある(何より引用される文献自体がおもしろい)。不用意かつ伝法な物言いが好きになれない書き手だし、指示語を多用する文体が読みにくくはあるが、よい本だと思う。「ゼロ年代のリアリティ」を標榜するような人たちはこういう仕事をどう評価するのかな2009/09/23

あーさー

1
1939年に発表された「富島松五郎伝」、のちに「無法松の一生」として有名になった作品(主人公の無法松)が、戦前から戦後になっていく過程でどう“読み替え”られてきたかを丹念に辿った力作。大月隆寛さんならではの筆致が小気味良いです。2023/11/21

鼻毛カッター

1
小関智弘がこの評論を褒めていたので、このさいまとめて読んでおことうと、原作と一緒に読んだが、正直、半分も理解できんかった。2010/08/31

0
20030810

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